「ショートバス」
無名俳優たちの大胆な「性交シーン」にびっくり

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   ジョン・キャメロン・ミッチェルは俳優時代に作曲家スティーブン・トラスクと組んで、旧東ドイツ生まれのロックシンガー、ヘドウィグの性転換手術失敗をミュージカルにして舞台に上げた。これがオフ・ブロードウェイで大ヒット。その映画化「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」でも初監督をして世界の注目を集めた。人々を繋ぐという役割を音楽から「セックス」に変えたのがこの作品だと、ミッチェルは語っている。9.11以降のNYで人々は孤独になり、何かと繋がりたいという欲望を抱くようになったと。

(C) 2006 Safeword Productions LLC
(C) 2006 Safeword Productions LLC

   主人公はソフィア(リー・スックイン)という中国系アメリカ人のカップル・カウンセラー。人々のセックスの悩みを解決するのが仕事だ。夫のロブ(R・バーカー)を愛しているが、オーガズムに達したことが無い。ジェイムズ(ポール・ドーソン)とジェイミー(PJ・デボーイ)はゲイのカップルだが気持ちがすれ違う。他のパートナーを入れた方が良いのかと悩んでいる。SM女王のセヴェリン(L・ビーミッシュ)はグラウンド・ゼロを見下ろす部屋が仕事部屋だが客は少ない。彼らは何か物足りなくアンダーグラウンドのセックスサロン「ショートバス」に集まって来る。

   ショートバスとは特殊学級の児童たちを運ぶ、通学バスより少し小さいバスのこと。転じて孤独で性の悩みを抱く人たちのサロン名になっている。

   キャメロンの性描写の大胆さに驚く。ジェイムスは部屋で風呂に入り、ベッドに横たわり延々とオナニーに耽る。ボカしているが明らかに屹立した一物をしごき、身体を曲げて舐める。それもビデオでしっかり記録する。ソフィもオーガズムに達するために自慰をカメラ前で堂々と演じる。手でダメならウィーンとうなるディルドで試す。またクリトリスにバイブを押し当て、夫にリモコンを持たせてショートバスに乗り込む。もっとも夫は落としてしまい他人が操作してるのが可笑しい。サロンでの乱交シーンの凄まじさ。明らかに抜き差しの性交をしているのが、ボカしている画面からも伺い知れる。

   何れも無名の俳優たちだが、その大胆な演技には感嘆する。望むらくはもう少し美男美女を使ってくれないかな。特に主役のスックインはブスで、正面を向いて腰を突き上げる扇情的な自慰にもエロティックな感じが湧かない。エロサイトを見て自慰する無職の夫ロブ(こちらは美男)を咎めたときの「ジョブ探しだ」「へー、ハンドジョブ(自慰)なの」の会話は笑ってしまう。

   待望のキャメロン作品だが、ショックシーンの驚きだけで、コンセプトも納得性が無く、前作の足元にも及ばない映画だ。8月25日より渋谷シネマライズで公開される。

   この劇場はアート系のレア作品を上映してくれることで知られる小屋だ。在日のライさんが映画祭やマーケットまで見に行き、作品をチェックして配給会社に指示し買い付けさせ自分の小屋で公開する。ライズだけだから常時満員。その上「夫婦50割引」などはやらず、若い人を集めている。

恵介
★★★☆☆
ショートバス(SHORTBUS)
2006年アメリカ映画、アスミック・エース配給、2007年8月25日公開、1時間41分
監督・脚本:ジョン・キャメロン・ミッチェル
出演:リー・スックイン / ポール・ドーソン / PJ・デボーイ
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