『愛は地球を救う』ひとつのテレビ局のリキをこめた夏休み期間中のひとつの企画。地球愛もいいが、それよりもこの炎暑をなんとかしてくれよ。こんなヘソ曲がりだ。
スッキリ!!は主催局だから、番組の大半を『24時間テレビ』の話題でブッ通した。
主役は66歳でチャリティー・マラソンランナーを務めた萩本欽一。スタート地点から日本武道館までの70キロを完走した。・・・といって最初は走っていた。その後はひたすら徒歩。ひたすら沿道の人たちとハイタッチ、握手。
スタートしてから5時間して左足を痛めて、小休止のときは「アイタタタ」「イテテテ」と苦しげな声を出していたが、右手だって相当酷使しているし、人気者は大変だよなぁ。
「みんなで欽ちゃんコールしてくれるし、ハイタッチが痛みを忘れさせてくれるよ」
凄いと思わせるのが、沿道にいる同世代の人たちに「一緒にがんばろうね」と逆に声をかける。芸人根性ではなく彼の人間性だろう。
最後のひとふんばりはヨタヨタ歩きで、涙ぐんでいる。徳光アナはここぞとばかり「たくさんの人に愛と勇気を与えていま感動のゴールに向かっております」・・・涙まじりの絶叫だからテレビ局としては「おいしい」の一言。
視聴率でなんぼの世界だから、こんなおいしい話はない。ゴールしたのは放送終了後だったが、その模様は直後の『行列のできる法律相談所』の番組内で生中継された。
平均視聴率は18.2%。ところが、このゴールの瞬間が生中継されたときの瞬間視聴率は43.9%!
欽ちゃん神話が日本テレビ系を救った。ちなみに募金額は約3億6千万円。
番組では<欽ちゃんを支えた食事>を列挙した。あんどーなつ、あんぱん、あんまん、冷やしおしるこ、かんぴょう巻き、お茶漬け、冷やしうどん、そうめん、カツサンド、豆腐・白菜の漬け物、焼きサケ、梅干し、明太子、スイカ、メロン、桃、緑茶、紅茶、昆布茶、めんつゆ。なかでも多くとったのは水割りのめんつゆだったとか。
「これだけ食べたから走れた部分もありますね」(加藤浩次)
テリー伊藤はしんみりといった。「彼は依頼を受けたときにこう言ってるんです。最近、次の日がくるのが楽しくない、と。ぼくらもあした楽しいことがあるかと疑問を持って生きている人が多いと思うんですよ」
――欽ちゃんと同じような挑戦をしましょうよと神妙に呼びかけた。