日本テレビのバラエティ番組「ザ!鉄腕!DASH!!」の中に、TOKIOのメンバーたちが田舎暮らしを体験する「ダッシュ村」というコーナーがある。そこで以前、TOKIOが「アイガモ農法」で米を栽培する様子を見たことがある。
田にアイガモを放し、雑草や害虫を食べさせる。アイガモのフンが肥料にもなる。農薬や化学肥料を使わず、より安心、いわゆるエコな農業ができるとして取り上げられていたように思う。
今回の「プロフェッショナル 仕事の流儀」のゲストは、そのアイガモ農法を確立した古野隆雄。無農薬で稲を育てようとすると、田んぼの雑草取りに膨大な時間がかかる。しかしこの農法はそれを大幅に短縮できることから、日本国内だけでなくアジアやアフリカにも広まっているという。古野の活躍は広く認められ、スイスのシュワブ財団が選出する「世界で傑出した社会起業家」に日本人で唯一名前が挙げられたほどだ。
古野も初期の頃は雑草と格闘し、収穫できない年が続いたのだという。アイガモ農法は、その苦難の末に生まれた農法だ。そこで番組ホストの茂木健一郎が「新しい技術を作るために必要なことって何だと思われますか?」と質問。それに対して古野はこう答えた。
「問題を問題として意識すること。私としては順調にいったことはあまり後に役には立たないというか、失敗すると物事を深く見ることができる。失敗したときに試行錯誤することによって、偶然のチャンスをつかむことができるんじゃないかなと思うんですけどね」
問題をきちんと把握する。成功への鍵として色々な所で目にするフレーズだが、まさにその通りだと思う。自分の中に、または、周囲に存在している「問題」を感じ取って、それを変えていこうとすることが成長に結びつくのだ、と。
ところで、大きくなったアイガモは食用として出荷するのだそうだ。えっ、あんなにかわいがっていたのに? 行く行くは合鴨の炊き込みご飯になってしまうのか。