のっけから、柏崎の映像だ。「取材中のカメラが偶然、地震の瞬間をとらえました」という商店街での映像は、一見たいしたことはない。路上に出た住民に、記者が「どんなでした?」と聞いている。そんな程度。
だがこれが、日本テレビの出足の良さになったらしい。発生が午前10時13分。レポーターの阿部祐二、大竹真は午後3時すぎには現地にいた。曲がりくねってしまった線路、道路の亀裂、隆起、陥没、道路に崩れ落ちた瓦屋根、倒れた生コン用タワーの下敷きでペシャンコになったトラック‥‥マグニチュード(M)6.8の凄さがよくわかる。
7月17日朝までに死者9人、けが人979人、家屋の全半壊400棟‥‥柏崎は3年前の中越地震でも震度5弱を経験しているが、震度6強は「全然違った」という。
ある商店主が中継で「前回は外へ飛び出したが、今回は外へ出てからまた中へ入りたくなった」と。加藤浩次が「どう違うんですか?」ときいたが、声が伝わらずむにゃむにゃになったのは残念。
地震被害の全容はつかみにくいものだが、テレビは、昨日の映像とナマの中継とを織り交ぜて、印象を刻んでいく。だからこそ、レポーターの感覚と言葉が重要。9人目の死者となった呉服店倒壊現場でも、「いま歩道にすわっている建物が、実は2階部分だった」という一言がないばかりに、いまひとつ伝わってこない。あとで住民の言葉で「ああなるほど」。
ヘリのレポートでも、勘違いや舌足らずがあると、映像に負けてしまう。信越本線の青海川駅の土砂崩れ現場では、「高さ300メートルの崖が崩れて」といっていたが、そんなにはない。ヘリの高度がそんなものなのだから。
しかし、状況は概ねわかった。倒壊した家屋は古いものが多く、先の能登半島を思い出させた。中越地震は持ちこたえた家が、今回はもたなかった。「M0.2の違いでエネルギーは倍になる」と東大地震研の纐纈一起教授の解説。
テリー伊藤の「またさらに発生することはないのか?」との問いに、「断言はできないが、中越地震と今回の中越沖地震で、この地域のひずみはかなり解放されたのではないか」という。そうあってほしいものだ。