スパモニのトップは「独占撮!!記憶喪失男性父親と再会で記憶は?」――興味を持って見た。進展はなかった。福岡で再会した父子の間に話がまったく通じない。会話はすれ違い。
テレビや監視カメラで「その個人」が特定される時代になった。
かって身元不詳の男性をスパモニが映像で流した。急展開というほどドラマ性はないが、同級生からの通報で居場所がわかった。両親が福岡に飛んで会いに出かけた。結果としては「独占撮??」だけだった。
今年の1月27日、東京に住む男性が失踪した。3月になって福岡で保護されていま病院に患者として入院生活をしている。
「自分が何をして、何をしようとしていたか記憶がありません」ボソボソした寂しげな口調だ。
発見した父親はひと安心というより苦悩を隠さない。「写真やよく描いていた絵を見せたけど、自分の名前も認識できない状況でとても手放しで喜べない」ひとまず一緒に東京に戻って再出発することになった。
――10代、20代に多発する傾向の心因性健忘症。
「記憶喪失の前には心理的にかなりストレスがあったと考えられます。例えば莫大な借金、仕事でのミス、家庭の混乱を抱えた生真面目な人がかかりやすいですね」(ひろメンタルクリニック吉井博明院長)
回復は?となると簡単ではないようだ。「思い出させようとするとそれがまたプレッシャーになる」(同院長)肉親の苦悩はさらに続くことになる。
「いきなり記憶を連れ戻そうするのは、トラウマが拡大したりして無理」(若一光司)。 赤江珠緒キャスターがしめくくった。「彼自身のこころの格闘を理解してあげることが大事でしょう」
テーマは地味だが、いまの若い層の過度なストレス、こころの闇に迫った点を評価。