裁判員制度では、国民の95人に1人が選ばれることになる。その実際を体験してみようと、「スッキリ!!」のスタジオが模擬裁判を試みた。
酒を飲んで運転した男がセンターラインを超えて対向車と衝突、相手側の運転者が死亡したという事件。状況設定は次のようなものだ。
男の飲酒量:ビール1本、焼酎1本。2時間後に血液中から0.8mg/mlのアルコールを検出。
状態:居酒屋を出るとき、釣り銭を落とし、拾おうとして転んだ。
運転:センターラインをはみ出し、スピードもオーバー。
過去:飲酒運転で2回捕まっている。飲酒運転は週2、3回。
以上から、
◆ 検察は「正常な運転ができなかった」として、危険運転致死傷罪で懲役8年を求刑。
◆ 一方弁護側は、酒には強い方で「普段と変わらない運転が可能だった」。居酒屋で転んだのはあせっていたから。事故は「景色に見とれていた脇見が原因だ」として、業務上過失致死罪と酒気帯び運転を主張した。
裁判官役の八代英輝が、危険運転致死傷罪のポイントは「正常な運転が困難な状態かどうか」と解説した。
さて、スタジオの5人の判定は? 全員が「危険運転致死傷罪」だった。その理由。
さかもと未明「センターラインで絶対だめです。弁護士ってだめな職業じゃないか」とやや脱線。八代も苦笑い。
テリー伊藤は「景色に見とれていたんじゃなくて前を見る集中力がなかった。酒に強い弱いは関係ない」
加藤浩次は「絶対にブレーキ痕がないのが決め手。2回捕まってまだやってる」
で、八代裁判長の判決は「業務上過失致死罪と酒気帯び運転で懲役4年」。全員が「えー、どうして?」というのに、八代は「現実の裁判では、正常な運転が困難という状況のハードルが高く運用されている」
テリーは「教習所で免許をとるときいろいろ注意はあるのに、裁判ではそれが保護されるのはおかしい」。加藤も「われわれが感じていることと裁判結果にずれがある」と。
八代は「法律や運用がこうなってしまっている。場合によってはみなさんの意見で法律を変えることも必要」という。
裁判員になることで、われわれの視点が出てくるのか。なかなか面白い試みだった。