2002年10月に長野県塩尻市で男女変死事件があった。当初は男性が無理心中を図ったと見られていたが、男性の遺族が保険会社を相手に起こした民事訴訟では、第三者による殺害事件と認定されている。
この事件を追い続けてきたスーパーモーニングは、今回、重大証言を得た。それによると、男性とサイドビジネスなどで付き合いがあったと見られる「M氏」が、知人に事件当夜のアリバイ偽装を依頼していたというのである。
事件当時の状況からして、M氏は事件についてなんらかの事情を知っているらしいのだが、一方で番組のVTRは「スクープ」を強調するあまり、時系列にもとづく事実の整理や警察関係の確認(の報告)がおろそかになっていたようだ。
たとえば、はじめのほうでは、M氏は事件直後行方不明、と言っていたが、後には05年秋に警察に事情聴取されそうになり行方不明、と変わっていた。
VTR後、鳥越俊太郎がアリバイ偽装依頼について「警察は知ってるんですか」とリポーターの高村智庸に確認していた(警察はすでに把握済みだった)。コメンテイターに聞かれる前に、視聴者に知らせておくべき事柄ではないだろうか。
M氏が怪しいからといって、番組のつくりまで怪しげにする必要はない。
文
ボンド柳生| 似顔絵 池田マコト