「ハリウッドランド」
人気絶頂「スーパーマン俳優」はなぜ死んだのか?

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   ショーン・コネリーが1962年から続いていた大ヒット「007」シリーズの6本目「ダイヤモンドは永遠に」の絶頂期で降りて、「未来惑星ザルドス」なんて地味で格好悪い役を受けたときは驚いた。「007ははまり役だが、役者としてイメージが固定してしまう」との辞退理由だった。

(C) 2006 FOCUS FEATURES. ALL RIGHTS RESERVED.
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   翻ってこの「ハリウッドランド」の主人公ジョージ・リーブスを見るに、スーパーマンで有名に成りすぎたという弊害がある。リーブスは50年代にTVの「スーパーマン」シリーズで主役を演じ、世界的な人気を誇った。町のダイナー(食堂)で子供に気付かれ、TVの演技でサービスに努める。「ここより永遠に」ではデボラ・カーの浮気相手の下士官役だったが、試写室で「スーパーマンだ」と皆が笑ったので出番をカットされた。スーパーマンのイメージが強すぎて役が廻ってこない。その悩みで自殺したというのが専らだ。

   その上TVの草創期である50年代は映画を本編と呼び、TVを一段下に見下ろしていた。現在もその風潮は続いているが、TV「スーパーマン」の主人公を演じて人気のリーブスが、映画にコンプレックスを持っていたのは間違いない。

   1959年6月16日、スーパーマン俳優、ジョージ・リーブス(ベン・アフレック)が頭部に一発の弾痕を残して死亡した。享年45歳、俳優として油の乗り切っている時だけに早すぎる死だ。LA市警は自殺と断定。だが鋼鉄の身体のスーパーマンが銃で死ぬなんて考えられない子供たちにはショックだった。自殺とは信じられないリーブスの母親ヘレン(ロイス・スミス)に雇われた探偵のルイス・シモ(エイドリアン・ブロディ)は、調査に全力を注ぐ。遺体置き場で、リーブスが誰かに殴られた跡があるのを認めたシモは、遺品に「あなたに夢中T.M」と彫られた時計を見つける。T.M.とはトニー・マックス(ダイアン・レイン)で、彼女の夫はギャングと親しいMGM重役のエディ・マニックス(ボブ・ホスキンス)だ・・・。

   「真実」と「正義」をアメリカ流に追求することはどういうことなのか? 依頼人のヘレンは誰かの圧力で調査を打ち切るし、シモは暴漢に襲われて重傷を負う。同様に50年代の事件を扱う「L.A.コンフィデンシャル」や「ブラック・ダリア」ほどの迫力は無いが、未解決事件の真相究明という興味を観客に植え付ける。

   監督はTVの売れっ子アレン・コールター。「ザ・ソプラノズ」や「セックス・アンド・ザ・シティ」で名を上げたディレクターの映画デビューだ。シモ役のエイドリアン・ブロディは「戦場のピアニスト」のアカデミー賞主演男優賞以来売れっ子。トニー役のダイアン・レインは子役を脱皮し切れず一時停滞したが、子供が出来て離婚してから「運命の女」でアカデミー候補になるなど演技に幅が出てきた。リーブス役のベン・アフレックは「デアデビル」での超人役も経験してスーパーマン役も馴れたものだ。

恵介
★★★☆☆
2006年アメリカ映画、ブエナビスタ配給、2時間06分、2007年6月16日公開
監督:アレン・コールター
出演:ベン・アフレック / エイドリアン・ブロディ / ダイアン・レイン
公式サイト:http://www.movies.co.jp/hollywoodland/
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