先週、塩沢ときさんが亡くなった。スキルス性の胃癌だったということだが、その前にも舌癌と乳癌もやっていて、「癌との闘い」の半生だった。
塩沢さんには、1984年から始まった昼のトーク番組「いただきます」でお世話になったので、思い出が深い。オレは立ち上げのときのプロデューサーだったんだけど、おばさんパワーということでわりと年をめした女性に出てもらったんだよな。その中で、ひときわ大きなメガネに派手なメークをして出演してくれたのが、塩沢さんだ。
塩沢さんのトレードマークになった大きな頭。あの中には発泡スチロールが入っていた。発泡スチロールを芯みたいにして形を作り、その上に髪の毛をのっけていた。自分で作ってきて「さあ、どうだ」と見せてくれたんだけど、あの奇天烈なファッションが話題を呼んで、番組が当たるきっかけを作ってくれた。
それから、これはもう時効だからしゃべってもいいと思うんだけど、オレが会社に入社したばかりのころ、塩沢さんはオレの上司と不倫をしていたんだよ。あとで彼女の口から「灼熱の恋だったのよ」と聞かされたけど、驚いたね。
まだそんなに売れてなくて、有楽町の喫茶店でウエイトレスのバイトをしていたころの話だ。当時からイケメンが大好き。「男の人に燃えるタイプ」の激しい女性だったんだよね。
タレントとしては、どんな番組に出ても「浮き気味」になってしまう個性の強い人だった。でもそれは独特のスタイルをもっていたということで、貴重な存在だった。最近は「いただきます」に出てくれた人たちもどんどん亡くなってしまう。また一人、惜しい人がこの世を去った。
癌と恋 笑いのめして サヨウナラ