セマウル号から山を仰ぐ
安東午前10時始発特急列車セマウル号の乗客は、小学生や幼稚園児ばかりだった。祝日だったのだろうか、みんな遠足に出掛けるといった様子である。車内で盛んに記念写真を撮っていて、日本の子供なら「チーズ」というところ、「キムチー」と叫んでいた。
安東駅発の特急に乗り込む子どもたち
 車窓には日本にもかつてはありふれていた美しい山里の風景が次から次に現れ、列車は洛東江の流域を離れて北上、姜先生が火田民を探してさまよい歩いたという山岳地帯へ分け入り、やがて漢江(ハンガン)の源流地帯をゆく。
100年ばかり昔、ソウルから船で漢江を遡行して、このあたりに至ったイギリスの旅行作家イザベラ・バードは、その著書『朝鮮紀行』のなかで、住民が虎を非常に恐れていて、夜は出歩かず、戸締まりも厳重にし、実際、家畜や人が襲われる例があると記している。たった100年前。虎がそんなにいたのだろうか。「いまもいるんじゃないですか。太白山(テペクサン)では、雪の季節、ときどき足跡が見つかるそうですから」と姜先生は真顔である。列車はその太白山の険しい岩峰群を目指して、つき進んでいるのだった。(つづく・・・第3回「意気投合したアウラジの女」)
交通:木浦→光州→大邱→安東(バス)
朝食:ヘムルタン(海鮮鍋)
昼食:茹でたジャガイモ
夕食:ソカルビ
宿泊:大栄荘旅館(2人1室で1泊2万5000ウォン=1人約1,600円)
朝食:ヘムルタン(海鮮鍋)
昼食:茹でたジャガイモ
夕食:ソカルビ
宿泊:大栄荘旅館(2人1室で1泊2万5000ウォン=1人約1,600円)