「ブラッド・ダイヤモンド」
人を狂気に走らせる血塗られたダイヤ

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   WB配給「ブラッド・ダイヤモンド」の記者会見が3月、六本木グランドハイアット・ホテルで行われた。主演のレオナード・ディカプリオは、地球温暖化のドキュメンタリーフィルムを自ら撮っている関係で来日出来なかったが、「ラスト・サムライ」などのエドワード・ズウィック監督が、「ビューティフル・マインド」でアカデミー助演女優賞のジェニファー・コネリーと、この作品で助演男優賞にノミネートされたジャイモン・フンスーを従えて顔を見せた。

「ブラッド・ダイヤモンド」のPRで来日したE・ズウィック監督(右)とJ・コネリー、D・フンスー
「ブラッド・ダイヤモンド」のPRで来日したE・ズウィック監督(右)とJ・コネリー、D・フンスー

   ダイヤモンドは人の心を惑わせ狂気に走らせる、最も貴重で価値のある宝石。内戦の続くアフリカの貧しい国シエラレオネで発掘された、希少価値の高いピンク・ダイヤモンド。その石を巡り、立場の異なる3人の思惑がぶつかりあう。

   元傭兵で密輸業者のダニー・アーチャー(ディカプリオ)は、どっぷり漬かった出口のない商売から足を洗う絶好の機会。強制的に村から連れ出され、ダイヤを掘らされていた漁師、ソロモン・バンディー(フンスー)は、襲われて離散した家族を取り戻すチャンス。もう一人、アメリカの女性ジャーナリスト、マディー・ボウエン(コネリー)。紛争の国から密輸され、先進諸国へ流れるダイヤモンド・ルートを世界に暴き、告発する記事を書こうとしている。

   会見でコネリーは「ダイヤを買う考え方が変わった」と言っている。ダイヤは4つのC、Carat,Color,Cut,Clarity(透明度)の他にConflict Free(紛争ダイヤ、血塗られた密輸ダイヤで無いこと)の5のCが必要だ。この5番目のCを確かめて購買する、と。ズウィック監督は「社会的認識を高める作品だからこそぜひ撮らなければならないと感じていた」と語った。撮影は貧しい国モザンビークで行われ、撮影隊が落とす50M$(60億円)の費用が国に大きな経済的波及効果をもたらしたと喜んでいた。

   デビアスなど大きなダイヤモンド会社は年間18億円ほどのPR費を豊かな南や東アフリカで使い、ダイヤモンドのロマンスに関した側面だけを強調しているが、当事者の貧しい西アフリカ諸国では全く使っていない。この映画を撮るに当たって、やはりデビアスから干渉があったようだ。

   アフリカで少年時代を送り、パリでモデルをして頂点に立ち、ハリウッドスターになったジャイモン・フンスーは、チャラチャラしたアメリカ生まれの黒人と見かけは同じでも考えは違う。アフリカ生まれのアフリカ人の彼が、アフリカの内包している矛盾や問題を演じて世界に発信するのは使命だと感じる。紛争ダイヤもさることながら、映画で描かれる、強制連行されて少年兵に仕立てられる子供たちや性を商売とする若い女性たちの運命は、現実に進行している問題だと訴える。

恵介
★★★★☆
ブラッド・ダイヤモンド(BLOOD DIAMOND)
2006年アメリカ映画・ワーナーブラザース配給・2時間23分・2007年4月7日より公開中
監督:エドワード・ズウィック
出演:レオナード・ディカプリオ/ジェニファー・コネリー/ジャイモン・フンスー
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