『とくダネ!』の冒頭は日テレの『スッキリ!!』と似ている。3人のキャスターが横に並んで立ったままで、軽めのトピックスを紹介するのだ。
小倉智昭が取り上げたのは、アメリカの新語大賞のニュース。日本の流行語大賞は、「イナバウアー」と「品格」だったが、アメリカの「06年の言葉」は「プルート」に決まった。プルートとは、冥王星のことだ。
冥王星は昨年、惑星から矮(わい)惑星へと「降格」された。そこでアメリカでは、「降格する」ことを「プルートする」と言ったりして楽しんでいるらしい。たとえば、「仕事さぼってすると、プルートされるぞ」みたいに。
「面白いですね~」と小倉が言えば、いつもはやる気がない中間管理職にしか見えない笠井信輔アナも元気にコメント。
「もう今朝から、スタッフに対して『VTRがつまらないときは担当者は冥王星にするぞ』という会話をしています(笑)」
しかし、そんなノリノリになりかけたスタジオの空気を一気に冷ましたのが、“変なアメリカ人”デーブ・スペクターだ。
「アメリカではこういう言葉が生まれたの?」という小倉の質問に対して、デーブは「ありますね。だけど、この前ディズニーランドにいったらプルート、まだいましたよ」
ディズニーアニメでおなじみの犬のプルートにひっかけたオヤジギャグ。う~、サブっ。これには饒舌な小倉もため息をつくだけ。
「なんでこういうときに、うまく乗ってこれないんだろう~ね、デーブは?」
「俺たちはもう興味しんしんに見るしかない」
アメリカの次はイギリス。「また、欧米か!」というわけでもないが、スタジオがかなり盛り上がったのは、英王室のウイリアム王子の恋人の話題だった。
今年25歳になる王子の恋人はアパレル会社で働くケイト・ミドルトンさん。“今年中にも婚約か”と噂され、結婚記念のマグカップがすでに準備されたり、ブックメーカー(私設ノミ屋)の賭けの対象になったりと世間の関心は高まる一方。おかげで、ケイトさんをつけねらうパパラッチの取材の過熱ぶりが問題になっているのだという。
しかし小倉はパパラッチの問題にはあまり触れずに、「笑顔が素敵な、品のいいお嬢さんで・・・」と恍惚とした表情。たしかにテレビに映ったケイトさんは美人でスタイルもよかった。もう完全に「ケイトさん、萌え~」という雰囲気だ。
ただウットリしているだけならいいんだけど、さらに勢いあまって小倉は言う。
「俺は、チャールズは王位継承を辞退すべきだと思うね」「スタイルもいいし、とっても雰囲気のいい方で、こういう人が早く王妃になってくれるといいですね」
「そんな個人的願望は・・・」と優等生の佐々木恭子アナがたしなめても、小倉はきかない。
「そんなもんは日本から見たら、個人的願望以外なにもないじゃない? 俺たちはもう興味しんしんに見るしかないわけだから」
そんな逆ギレぎみの小倉を見ながらふと思った。イギリスのテレビでも、日本の皇室をネタにこんなトークをしているんだろうか?
ウイリアム王子の恋人の話題のところで、イギリスのブックメーカーが「今年中に結婚するという賭けの倍率は『3 to 1』だ」と話していたが、テロップの日本語は「1~3倍」となっていた。しかしこれは誤りで、「4倍」と訳すべきだろう。イギリスでは賭けの倍率の表現の仕方が日本と違っていて、「3 to 1(3対1)」というのは、賭け金「1」に対して儲け(利益)が「3」になるという意味だからだ。これを日本流にいえば「4倍」ということになる。「今年中に結婚」という賭けの中身からいっても、これくらいが妥当な気がする。