小倉智昭キャスターの「広がり方はノロじゃない」というダジャレで始まった特集「ノロウイルス感染原因の追跡」は先週18日の続報。突っ込んだ取材を期待したが目新しい話はなかった。
番組では、家庭内感染が増えており、「最悪の場合は1000万人が感染」という国立感染研究所の予測数字を紹介するとともに、降雨量の少なかった西から感染が広がっていることから「感染原因は乾燥にあるらしい」と推測。あとは、感染防止に手を洗うことや患者が吐いた汚物は塩素酸ナトリウムを含んだ漂白剤できちんと処理するなどの対策について、レポーターが実演しながら教えるにとどまった。
気になったのは、乾燥によって感染が広がったと推論したにもかかわらず、レポーターはノロウイルスが「飛散する」「飛び去っていく」を連発していたことだ。
ウイルスは羽が生えているわけではなく、自分で飛んだり跳ねたりしない。塵に付着して乾燥によって空中に浮遊したウイルスを、人間が塵と一緒に吸いこみ感染する。だからこそマスクが必要なのだが、今さらというわけかマスクについてはまったく触れなかった。
「考えがバラバラで北に見透かされている」
特集で、1年1ヶ月ぶりに再開された6か国協議を取り上げたが、焦点がボケた内容だった。
協議初日は北朝鮮が自国の要求を並べ立てて終わったが、特集では、北が核実験までして強硬姿勢をとった原因となっている中国・マカオの銀行「バンコ・デルタ・アジア」の米国による資産凍結に触れた。同銀行にある北朝鮮資産の口座は将軍様に直結しているいわれており、『とくダネ!』では初めてという突っ込み取材を敢行した。
しかし、窓口まで入れたものの体よく追い払われて現地取材は終わり。この後、フジテレビ北京支局の山口誠一郎記者が初日の協議を終えた現地の報道の扱いなどに触れていたが、早口でまくし立てただけだった。
ゲストのニューズウイーク日本語版編集長、竹田圭吾が「北を除く5か国が事前に協議をやらないと...。考えがバラバラになっており、北に見透かされている」と締めくくっていたが、特集も焦点が定まらずバラバラだった。
今朝も松坂帰国記者会見をそのまま報道し、相変わらずの松坂フィーバーだ。そのなかで松坂のある言葉が気になった。ボストンに向かう機中でのことらしいが、「数時間前までは、極端に言えば入る入らないで揉めていたのに、(その相手と)ほんとに近い距離で笑い話をしているのは面白いと思いましたね」。松坂が初めて実体験した洗練された"米国式交渉術"のことらしいが、松坂フィーバーでどうせ追跡するなら「松坂契約交渉で見た米国式交渉術」など視点を替えた特集もほしいものだ。