人口減が止まらない 秋田県は日本の近未来
日本の人口減少が止まらない。総務省が2024年4月12日に発表した人口推計によると、外国人を含む総人口は、前年より59万5000人(0.48%)減の1億2435万2000人だった(昨年10月1日現在)。減少は13年連続で、今年もワースト1位は秋田県だった。
東北各県の減少が際立つ
秋田県の人口は、1956年の約135万人をピークに減少。今回の調査では91万4000人。前年からの減少率は1.75%。秋田魁新報によると、11年連続で全国最高となった。このほか、青森県が1.66%減、岩手県が1.47%減、山形県が1.42%減、福島県が1.31%減と、東北各県の減少が際立っている。
秋田県の人口減少は以前から問題になっている。秋田経済研究所のレポート「秋田県における人口減少の要因について」(2011年)によると、同県では1993(平成5)年に「自然減」(死亡者数が出生者数より多い)が始まり、99年以降、急速に拡大していった。原因としては、
「18~24歳頃の時期に就職や進学などの理由から他の都道府県へ転居し、そのまま秋田県外で生活する、いわゆる若年人口の減少が約30年以上もの長期間継続したことが大きい」
つまり、若年人口を中心とした社会減(転出と転入の差)が先行し、その結果として出生数の減少が続いている、と分析している。
NHKによると、秋田県は15歳未満の割合は今年1月段階で9.1%。すべての都道府県で最も低かった一方、75歳以上の割合は21.2%で最も高い。長期にわたって様々な対策が取られているが、少子高齢化が続いている。
東京都以外はすべて減少
秋田県の減少率は確かに目立っているが、今回の調査では、東京都以外の46道府県はすべて人口が減少している。東京都も自然減は続いており、転入者による社会増でかろうじて減少を免れているにすぎない。
将来の人口を予測するデータとして、しばしば使われているのが,若者の人口と高齢者の人口の比較だ。今回の調査では、全国の15歳未満の人口は32万9000人減の1417万3000人で過去最低だった。総人口に占める割合も0.2ポイント減の11.4%で過去最低を更新した。すべての都道府県で前の年より低下している。
一方、75歳以上の人口は71万3000人増の2007万8000人。朝日新聞によると、比較可能な1950年以降ではじめて2000万人を超えた。全人口に占める割合は0.6ポイント増の16.1%となり、過去最高を更新した。第1次ベビーブームの1947~49年に生まれた「団塊の世代」が2022年から75歳を迎え、高齢化が加速している。
若者が減り、高齢者が増える――つまり、日本全体の「秋田県化」が進んでいる。
鳥取、高知、島根、徳島
『未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること』(講談社現代新書)によると、2045年には、全国各地で人口減少がさらに進んでいる。
秋田県は17年に、県人口が100万人を切ったばかりだが、現在は90万人割れが目前。それが、2045年には約60万になるという。
このほか45年には、鳥取県が約44万人、高知県も50万人を割り、島根県、徳島県、山梨県も60万人に届かない。
人口減少と同時に、高齢化も進んでいるから、人口構成はいびつになる。秋田県の場合、45年には、75歳以上の割合が31.9%。つまり約3人に1人が「後期高齢者」となると予想されている。20年後のことだから、そう遠い先の話ではない。
ちなみに今回の調査では、外国人は24万3000人(8.3%)増の315万9000人となり、2年連続の増加だった。NHKによると、外国人を除いた日本人の人口は1億2119万3000人。前の年と比べて83万7000人、0.69%の減少となり、減少率はさらに大きくなっている。
江戸時代に戻る?
長期的に見ると、日本の人口はさらに減少が加速すると予想されている。朝日新聞は4月16日、「2120年 日本は人口3000万人?」という記事を掲載している。
経済学者の森知也・京都大学教授らのシミュレーションによると、100年後の日本では、総人口は3000万人から5000万人ぐらいまでに減るという。森教授は「江戸時代と同じ3000万人台に減るというのが現実的な想定なのですが、行政も国民も危機感が足りません」とコメントしている。
また、共同通信は4月19日、「744自治体、消滅可能性 4割超、30年間で女性半減」という記事を配信している。民間組織「人口戦略会議」がまとめた報告書によると、2020~50年の30年間で、子どもを産む中心の年代となる20~39歳の女性が半数以下となる自治体は「消滅可能性」がある。全体の40%超の744自治体が該当するという。