高校駅伝、今年から様変わり 「助っ人」留学生は最短区間のみ

   年末恒例の全国高校駅伝が、2024年度から大きく様変わりする。外国人留学生が走ることができる区間が、最短の3キロ区間のみに限定されるのだ。

   高校駅伝では、男女とも圧倒的な走力を持つ留学生選手の活躍で勝負が決まることが少なくなかった。そのため、留学生を擁するチームと、そうでないチームとの格差が問題になっていた。

留学生が各駅伝で活躍も……(画像はイメージ)
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驚異的な追い込みで逆転

   2023年12月24日に開催された高校駅伝。女子の部では神村学園が5年ぶり2度目の優勝を果たした。

   最終区間の5区(5キロ)にタスキが渡った時、1位を走る仙台育英(宮城)の日本人選手と、2位の神村学園のカリバ・カロライン選手とのタイム差は1分20秒。逆転はちょっと無理と思われるタイム差だったが、カロライン選手は驚異的な追い込みで差を縮め、トラック勝負に。最後の100メートルで追いつき、1秒差で優勝のテープを切った。

   カロライン選手は、全国高校総体の1500メートル、3000メートルで2年連続2冠を達成した超高校級のエース。この日も異次元の走りだった。仙台育英のアンカーも、高校女子ではトップ級だったが、歯が立たなかった。

   カロライン選手はケニア出身。チームのキャプテンを務めている。この日の快走は、改めて留学生選手の強さを見せつける形となった。

最短距離の3キロ区間に限る

   日経新聞のスポーツ面は、この大逆転劇を報じるニュースのわきに小さく「留学生の起用は最短区間に限定」というニュースを報じた。

   それによると、大会実行委員会は2024年から、留学生の起用は男女ともに最短距離の3キロ区間に限ることを決めたという。

   高校駅伝の最長区間は、1区(男子10キロ、女子6キロ)。かつては留学生が1区を走ることができたが、日本人選手と大差になる展開が恒常化。毎日新聞によると、全国高体連が、予選を含めた出場校にアンケートを実施したところ、留学生を1区から除外することに7割を超える賛成があり、08年から留学生は1区を走れなくなっていた。今回は、さらなる走行区間の制限となる。

   7区間で競う男子は近年、2番目に長い距離の3区か4区(いずれも約8.1キロ)に留学生選手が起用されてきた。5区間で競う女子の場合は、2番目に長い最終5区(5キロ)を留学生選手が走ることが多かった。

   1区を留学生が走れなくなっても、2番目に長い距離は走れたので、全国高校駅伝では男女とも、留学生を擁するチームが優勝するケースが目立っていた。

箱根「予選会」は留学生が活躍

   留学生選手は、箱根駅伝でも活躍しているが、一定の制約が設けられている。

   読売新聞によると、かつては全10区間のうち、2区間まで留学生が走ることができた。しかし、現在のルールでは、留学生のエントリーは2人以内で、実際にレースに出場できるのは1人だけ。

   近年、日本人選手も力を付けており、有力チームは留学生なしで走ることが多い。しかし、中位以下のチームは留学生に頼る傾向がある。本大会出場を目指して各大学が競う秋の「予選会」は、出場選手の合計タイムでチーム順位が決まる。そんなこともあり、「助っ人」の留学生の爆走に期待することになりがちだ。最近では毎年、個人成績の上位は留学生が占めている。

   新春恒例の全日本実業団対抗駅伝競走大会(ニューイヤー駅伝)でも、外国人選手に制約が設けられている。走ることができるのは最短区間。このため、レース全体の勝敗の行方には直結しない。

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