「トコジラミ=南京虫」に注意を 自治体がウェブサイトで警告

   フランスや韓国など海外で「トコジラミ」の目撃報告が相次いでいる。かつては南京虫と呼ばれていた。日本でも発生が広がる恐れがあるとして、ウェブサイトで詳細な対応策などを告知する自治体が増えている。

市販の殺虫剤の中には、効果が見込めないものも
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吸血されると、猛烈にかゆくなる

   トコジラミは、5~8ミリの害虫。肉眼でも見つけることができる。シラミという名前が付いているが、分類学的にシラミ目ではなく、カメムシの仲間だ。夜間に活動し、寝ている人間を刺して吸血するので、トコジラミと呼ばれている。

   茶褐色で、扁平な体つき。吸血すると腹部が大きく膨らむ。飛べないので、自力では遠くに行けない。そのため、服や荷物にくっついて移動すると考えられている。吸血されると、猛烈にかゆくなる。

   戦後間もないころは先進国でも多く見られたが、殺虫剤などの効果で1970年ごろには激減していた。それが近年、再び増え始めた。薬剤への耐性が強まったことや、人や荷物に付着して海外から持ち込まれるケースが増えたことなどが考えられるという。

   仏では今年9月ごろから、ホテルや公共交通機関内で発見報告が相次いだ。国会でも対応が議論される騒ぎになっている。韓国でも、「モーテルの寝具を持ち上げると大量の虫が...」「韓国の大学寮のベッドに大量のトコジラミ」「ソウルの区も半分以上で発見」など、拡散の情報が報じられている。

駆除が難しい

   トコジラミはすでに日本でも増えている。東京都の2005年度の相談件数は26件に過ぎなかったが、10年度ごろから増加。最近は300~400件になっている。

   仏や韓国での騒ぎを受ける形で、国内でも、改めてウェブサイトでトコジラミの特性や、対応策を告知する自治体が目立っている。東京都練馬区は12月1日、サイトで「トコジラミ対策について(予防と家庭での駆除)」をまとめている。

・メスは、1日に5~6個(生涯では、200~500個)の卵を産む。飢えにも強いため、家の中に広がると駆除が難しくなる。
・生息している場所には、血糞(けっぷん)という黒いしみが多く見られる。
・市販の殺虫剤で最も一般的なピレスロイド系殺虫剤は、トコジラミに効かないことがある。有効成分がプロポクスルまたはメトキサジアゾンの殺虫剤は効果がある。

   ほかにも川崎市は11月2日、京都市は11月27日、大阪市は12月4日、「トコジラミについて」という啓発情報を掲載、市民に注意を呼び掛けている。

   トコジラミの完全駆除は、家庭ではかなり難しいとされている。東京新聞の取材に、ダスキンは、繁殖状況や部屋数などにもよるが、駆除の費用は平均12万~13万円と答えている。

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