「下痢地獄」の忘年会シーズン 飲み会後の腹の不調、解消法は
年末が近づき、忘年会の機会も増えてきました。30代の女性・まおさんは広告代理店に勤務し、営業として活躍中。社内や友人との忘年会だけでなく、クライアントとのお酒の席もあるため、連日飲み会に参加しています。
まおさんは毎年この時期になると「とある、お腹の悩み」に苦しみます。毎日、下痢をしてしまうのです。このつらさから解放されるためには、どうすればいいでしょうか。
年末年始はずっと下痢......
クライアントとの忘年会は賑やかな席が多く、まおさんも場を盛り上げるためにテンションをあげて参加します。元から楽しいことが大好きな、まおさん。特にそのことに対してストレスなどはありません。会社の経費でおいしいものが食べられるので、お腹もお財布もハッピーです。
お酒はそこまで強い方ではありません。ただ、さすがに30代ともなると自分のアルコール許容量はしっかり把握できており、そこそこ楽しむようにしています。
しかし、まおさんは年末になると、1つだけ「どうにもならない悩み」に見舞われます。「下痢地獄」です。忘年会シーズンから新年会シーズンが終わるまで、毎日続きます。朝起きてトイレにいくと、下痢が止まらずトイレから出られなくなることもしばしば。貴重な朝の時間をトイレに奪われるのは、たまったものじゃありません。
この時期を過ぎれば、年忘れのごとく悩みがなくなるのですが......。今年も下痢に悩まされる日々が始まるのかと思うと、気が重くなってしまいます。
飲み会後に下痢をしてしまうことには、あらゆる原因が考えられます。ですが、まおさんの場合はもしかすると、予防の1つとして検討できることがあるかもしれません。それは次の2つのうち、どちらでしょうか。
興奮すると腸は動かなくなる
正解は「1.落ち着いた雰囲気の店を選ぶ」。
飲み会後に起こる下痢の多くは、「浸透圧性下痢」と呼ばれるものです。腸の吸水能力に対して過剰な水分が腸内に入ってきたり、腸の吸水能力が低下してしまったりすると起こります。つまり、「大量のお酒を飲み、腸内の水分バランスが過剰になってしまうことで生じる」と考えられるわけですね。
ただし、まおさんのケースでは「お酒はそこそこしか飲んでいない」。ここがポイントです。飲む量によって起こっているわけではない、と想定できます。
今回注目したいのは、「腸の吸水能力の低下」。腸の動きは、自律神経やホルモンによって促進・抑制されています。例えば、脳内で興奮した時に作られるドーパミンや、幸せホルモンのセロトニンも、影響を与えるひとつの要素です。ドーパミンとセロトニンは脳内でバランスを取りながら作られていますが、その場の状況や、体調などによってどちらが優位に作られるかが決まります。
ドーパミンの割合が増えると、自律神経は交感神経が優位になり「戦闘モード」に。すると、副交感神経によって動かされている腸の動きは抑制され、低下してしまいます。つまり、吸水能力も抑制されてしまうのです。一方で、セロトニンはリラックスモードのときに増えるホルモンです。副交感神経を優位にするため、腸の動きを活発にしてくれます。
賑やかなお酒の席が多いという、まおさんも「テンションをあげて参加」とあるので、ドーパミンが優位と考えられます。交感神経優位の状態が続き、腸の動きが抑制されてしまっているのかもしれません。そのため、クイズの答えは「1,落ち着いた雰囲気の店を選ぶ」。ゆったりとお酒を楽しむほうが、腸の動きが抑制されず、下痢を起こしづらくなる可能性があります。
「酢」も摂り方によっては有用
もう一つの選択肢「お酢を飲む」ですが、不正解というわけではありません。ただ、「お酢」に含まれる「酢酸菌」の状態に注目しましょう。
酢酸菌はアルコール分解酵素を持っており、アルコールを酢酸に変えることができます。お酢を一緒にとることで、摂取したアルコールを分解し、私たちの負担を軽減することが論理上は期待できるのです。
しかし、市販品の多くは製造段階で「ろ過」を行うので、酢酸菌は取り除かれてしまいます。すると、酢酸菌が除かれているお酢を飲んでも、体中でのアルコール分解は期待できません。飲酒前に摂るとすれば、酢酸菌のサプリメントや、無ろ過のにごり酢などを試すのが良いでしょう!
お酒の席で起こる下痢は、雰囲気以外にもさまざまな要因で引き起こされる場合があります。アルコールによる刺激はもちろん、食べ物の脂質、お酒の種類、その日の体調などが複合的に関係していることも。「落ち着いた雰囲気の飲み会であれば、ある程度の量を飲んでもOK」ということではないので要注意です。体調や、自分の許容量に合わせて飲む量をコントロールし、終わった後も含めて楽しい飲み会にしてくださいね。