ガザで奮闘「国境なき医師団」とは? 活動費の99%以上が「一般寄付」
パレスチナ紛争で「国境なき医師団」 (MSF)への関心が改めて高まっている。日本人のメンバーも現地に派遣され、戦闘が一段と激しくなる中で、命がけで医療活動に従事。活動費は主として一般からの寄付で支えられている。
1999年にノーベル平和賞
「国境なき医師団」は非営利の医療・人道援助団体だ。紛争や自然災害、貧困などにより危機に直面する人びとに、独立・中立・公平な立場で緊急医療援助をする活動を続けている。1971年にフランスで設立され、99年には活動の実績が認められノーベル平和賞を受賞した。2022年には、 75の国と地域で、約4万9000人のスタッフが活動した。
今回、パレスチナのガザ地区でも多くのスタッフが活動しているが、11月18日には、国境なき医師団のパレスチナ人スタッフとその家族を避難させようとしていた車列が攻撃され、スタッフの家族2人が死亡した。
21日には、パレスチナ・ガザ北部に残る最後の病院の一つアル・アウダ病院が攻撃を受け、国境なき医師団の医師ら3人が亡くなった。施設内にいたスタッフらも重傷を負った。国境なき医師団は、アル・アウダ病院が機能していること、そしてそこにスタッフがいることを、紛争当事者双方に定期的に伝えていたが、病院の3階と4階が攻撃され、犠牲になった。
「みんな停戦を願っている」
日本事務局は1992年に発足。2022年には「国境なき医師団日本」から、26の国・地域へ89人(のべ119回)が派遣された。
12月6日段階では、ガザでは日本人メンバーとしてはただ一人、中嶋優子医師が残り、医療活動を続けていた。12月3日、FNNの取材に応じた中嶋さんは、
「わたしたちの寝泊まりしている建物も揺れたり、赤い光が窓越しから見えたり。本当に近くまで迫っているというのは、身をもって感じる」
「手術中に停電した時は、携帯で光を照らしながら手術を続行したり...。自分自身として感じているのは、戦争に比べて無力さというか...。1人ひとりの医療者が頑張るも、たかが知れている。(医療体制が)追いつかないから。みんな停戦を願っている」
と、現場の厳しい状況を伝えている。
「国境なき医師団日本」の収入(2022年度)は、130.2億円。個人を中心とした民間からの寄付金が99.9%を占めている。人道援助活動のための支援者の内訳は、一般個人が40万8198人、一般法人支援社が8337社、その他支援団体が1587団体。支援者総数は、前年比で約4.1%増加した。
今年10月以降、寄付金額、寄付者数とも平時の2~3倍に増えているとのことで、さらなる支援を呼び掛けている。