酒を楽しみつつモノづくり アップサイクル品がカワイイ小物に「Rinne.bar」
酒を飲みながら、廃材(リユース素材)を使ったオリジナルの「アップサイクル作品」を生み出せる、モノづくりバーがある。東京都台東区にある「Rinne.bar(リンネバー)」だ。もし酔ってしまっても怪我をしないように、縫わずにできる体験がほとんどだという。
J-CASTトレンドは「Rinne.bar」に行き、取材した。
17種類のメニューから選べる
店に入ると、体験メニューのサンプル品と素材の数々が棚にずらりと並んでいる。棚以外においている小物や荷物入れも、リユース素材で作られている。
棚に飾られたサンプル品と素材
メニューは、1ドリンクと体験セット(1~2時間程度)がついた「bar PROJECT MENU」11種類。そして、15分程度の短時間で完成する「barお通しMINI PROJECT」6種類。全部合わせて17種類ある。
Rinne.barのスタッフ・山浦あかりさんによると、
「誰でもお酒やコーヒーを飲みながら気軽にアップサイクルを楽しんでもらうために、『リユースの素材で、酒を飲みながら手軽に何が作れるか』、スタッフ一同、日々試行錯誤している」
と言い、今後はもっと増やしていきたいと語る。
記者は「bar PROJECT MENU」(税込3850円)を注文。ハギレ生地を使って蝶ネクタイを作る、「Bow Tie」に挑戦した。メニューの中で、縫う工程が唯一あるものだ。男女問わず人気だという。
まず数ある生地の中から、正面と裏になる生地を2種類ずつと、リボンを止める生地1種類、計5種類を選ぶ。
写真付きの説明書を読み進めながら、自力で作成していく。記者は説明書だけで完成させられたが、わからないところがあれば、スタッフが丁寧に説明してくれるので、普段ハンドクラフトをしない人でも安心だ。
リボンの土台部分の生地端を「細かく縫い合わせた所」が見えないよう、裏返す工程に苦戦。1時間かけて「Bow Tie」が完成。形ができてくるにつれてリボンが完成していくさまが実感できるのが、楽しい。
記者が作った「Bow Tie」
思い出の着物が人形に
記者が体験したメニュー以外でも、普段使いやプレゼントにぴったりなアイテムが作れる。例えば「Upcycle Leather Key Chain」は、製品にならない端革(はがわ)や傷革、獣害として駆除された動物の革などを使用し、キーホルダーに仕上げる。店で用意している動物の革は、牛、豚、鹿の3種類。革一つ一つに柔らかさや、硬さなど、触り心地に差があるため、同じ色でも生地の違いが楽しめる。
また、家や家具をつくる時に出る半端な木材や木っ端を用いて、生き物を生み出すこともできる。その名も「KOPPA kun」。建築端材の木端(こっぱ)を使用し、形を作り、使い古したボタンや歯切れ等を組み合わせて、人形を完成させる。
山浦さんは「KOPPA kun」を巡る、印象的な出来事を語ってくれた。
「Rinne.bar」の近所に住むおばあさんが、ある時「シミがついた思い出の着物を新しいモノづくりに生かしてほしい」と、寄付してくれたことがあった。山浦さんがそれを活用し、「着物を着た『KOPPA kun 』」を作ったところ、後日おばあさんも「私も友達のために、着物を着た『KOPPA kun 』を作りたい」と店を訪れたそう。現在では、店のサポートをしてくれている。
なぜ、Rinne.barをオープンしようと思ったのか。山浦さんは取材に対し、こう明かした。
「普段ものづくりに触れる機会が少ない人でも、素材やモノに対しての新しい見方を知り、自分の創造性に対する自信を取り戻せる場をつくりたいという代表の想いでこの場所が生まれた」
今後の夢は、全国に眠っている不要な素材を誰かの宝物へと引き継ぐ「クリエイティブリユースセンター」を作ることだという。