「社畜集会」がメタバース上で 勤労感謝の日に「残業時間バトル」

   社畜――。つらい仕事でも文句を言わず、熱心に働き続ける会社員を意味する言葉だ。これを自認する人々によるイベント「社畜集会」が、メタバースプラットフォーム「VRChat」上で開かれる。開催予定日は現状(2023年10月20日時点)、11月23日。「勤労感謝の日」だ。

   VRChat上で活動するユーザー・新澤オルトさんが2023年10月19日に告知した。社畜同士が集まり、労働時間の長さを競い合う「残業時間バトル」などを行うという。新澤さんが自身のX(旧ツイッター)に投稿した告知ポスター画像からは、ユニークながら哀愁が漂う。

新澤オルトさんがXに投稿した「社畜集会」告知ポスター
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「社畜の自認」あれば

   新澤さんが10月19日にポストした告知によると、「残業時間バトル」のほかには社畜同士の慰めあい、社畜を思わせるデザインにしたアバターの見せあい、そして「ちょっとだけ役に立つ話」などを楽しめるイベントになる予定。

   ユーザーは「1.過去1年に1時間でも時間外労働をした」「2.過去1年のいずれかの1週間の労働時間が40時間を超えた」「3.社畜の自認がある」の条件のうちいずれかを満たしていれば、参加可能だ。また「当日何らかの理由で参加できない」人を対象に、労働という概念や会場参加者へ向けたメッセージの募集を開始している。

   新澤さんに取材した。上記に加え、集合写真の撮影も実施するほか、今後もコンテンツは増える場合がある。「役に立つ話」については、自身の職業が医療関係であることを背景に、「職場のメンタルヘルスに関する内容について何かお話できれば」と考えている。

   告知ポストは、500回以上リポストされている。新澤さんによると、反響は想定以上。より多くの人に楽しんでもらうべく、「イベントの内容や開催日時を調整する必要」を感じているという。そのため、開催当日の内容は10月20日現在公開している情報とは異なる可能性がある、とした。

もともと開催するつもりはなかったが

   「社畜集会」開催のきっかけを聞いた。新澤さんは23年度から比較的多忙な職場に勤めており、以前のようにVRChatで遊ぶことが難しくなったという。

「フレンド(友人)たちと遊んでいるなか『仕事だから落ちます』と一人ログアウトしたり、行きたかったイベントも仕事の都合で参加ができなかったりするようになり、これまで営んできたバーチャルなライフスタイルを思うように継続できなくなりました」(新澤さん)

   こうした仕事のストレスなどを背景に、あるとき寂寥(せきりょう)感や孤独感が噴出し、自身と似た境遇の人と話したいと感じた。

   「もし(そんなイベントが)あったらいいな」――。そんな思いから、架空の集会として「社畜集会」のポスターを作成。10月14日、Xに投稿した。もともと、本当に開催するつもりはなかったのだ。

   しかしポストには他のユーザーから「行きたい」「開催してほしい」と数多くの反応が寄せられた。思った以上に需要があると気付き、「焚きつけてしまった以上は主催として開催すべきだ」との判断に。こうした経緯から10月19日、改めて集会の告知を行ったとのことだ。

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