世論調査に「逆風」続く 携帯電話の回答率30%台に
大手メディアは毎月のように、さまざまな世論調査を行っている。しかし近年、回答率(回収率)の低さに頭を痛めている。携帯電話での調査では、回答率が3割台に落ち込むケースも珍しくなくなっている。
回答率を伏せている調査も
朝日新聞社は9月16、17日に全国世論調査(電話)を実施した。調査方法は、コンピューターで無作為に電話番号を作成し、固定電話と携帯電話に調査員が電話をかけるRDD方式。固定は、有権者がいると判明した915世帯から428人(回答率47%)、携帯は有権者につながった1653件のうち641人(同39%)、計1069人の有効回答を得た。
日経新聞は2023年9月15日、世論調査結果を公表した。日経リサーチが13、14日に全国の18歳以上の男女に携帯電話も含めて乱数番号(RDD)方式による電話で調査し、749件の回答を得た。回答率は39.2%だった。
9月13、14日にNNNと読売新聞が行った緊急の世論調査も、回答率は低い。固定電話416人(回答率50%) 携帯電話 672人(回答率36%)。合計1088人が回答した。
最近では、携帯電話の回答率が30%台にまで落ちている調査は珍しくない。回答数だけ公表して、回答率は伏せている調査もある。
知らない番号の電話に出ない
日本の大手メディアは長年、様々な形で世論調査を行っている。各社に専門の部署があり、かつては回答率が80%前後のこともあった。当時は、調査員による個別訪問・面談による方法だった。しかし、個人情報の保護意識が高まり、2006年には法改正で、住民基本台帳の閲覧をもとにした調査のハードルが高くなり、手間と時間がかかるようになった。
替わって電話による調査が主流となった。しかし最近では、詐欺電話や勧誘電話が社会問題になっているため、知らない電話番号には出ない人も増えている。2年ほど前までは、携帯電話での回答率はまだ40%台にとどまることが多かったが、このところ30%台の調査が目立つようになっている。
ただし、日経新聞によると、世論調査では、700~1000人程度の有効回答を集めると、全数調査を比べた誤差の目安は、およそ3ポイント以内におさまるという。回答率よりも回答数が重要なようだ。