「全日本大学駅伝」国立大3校が出場へ 「箱根」を走るチャンスは・・・

   秋になり、駅伝の季節が始まった。大学駅伝の選考会では、国立大学勢が健闘している。といっても箱根駅伝ではない。2023年11月に開催される第55回全日本大学駅伝(以下・全日本)の地区選考会だ。すでに名古屋大、鹿児島大、新潟大のチームが代表の座を射止めている。

駅伝シーズンはこれから
Read more...

陸上部があることすら知らなかった

   「全日本」の九州地区代表は、39大会ぶりに鹿児島大学に決まった。5月28日に行われた地区代表選考会で、福岡大や第一工科大などの有力大を退けて本大会の出場権を獲得した。10000mのタイムレースで、各大学上位8人の合計タイムが最も良かったのが鹿児島大だった。

   西日本スポーツによると、鹿児島大は、高校時代に実績のある選手はほとんどいない。選考会でチームトップの記録を叩き出した別府明稔選手は入学当初、陸上部があることすら知らなかったという。

   東海地区の代表選考会は、6月24日に開かれ、名古屋大学に決まった。7年連続代表の皇学館大とのマッチレースを制し、11大会ぶりの代表権を得た。

   北信越大会では、新潟大が2大会連続14回目の代表切符をつかんでいる。

「三大駅伝」として注目

   大学駅伝は、1月の「箱根駅伝」、10月の「出雲駅伝」、11月の「全日本大学駅伝」が三大駅伝として注目度が高い。

   駅伝シーズンの幕開けに開催される「出雲」は、各区間の距離が短いスピード駅伝、「全日本」は全国の大学が参加可能、1920年から始まった「箱根」は最も伝統があり、関東地方の強豪校による実力対決という特徴がある。

   「全日本」は、名古屋市をスタート。伊勢まで、全8区間106.8kmのコースで行われる。前回好成績のシード校や、全国8地区の選考会を勝ち抜いてきた代表25校と、オープン参加の日本学連選抜、東海学連選抜の計27チームが出場。大学駅伝日本一を決める。

   「全日本」では過去5年間、国立大の出場は1~2校にとどまっていた。今年はすでに終わった地区予選で3校が選ばれているので、久しぶりに数が増えることになる。

   東北地区の選考会は9月24日に開かれる。このところ東北大が3年連続代表。昨年は2位が山形大だった。さらに国立大勢が増える可能性がある。

来春の「箱根」は「連合チーム」なし

   一方、伝統の箱根駅伝では、「連合チーム」に関連し、ブーイングが起きたことが報じられている。

   「連合チーム」は、出場権を逃した大学の中から、予選会での個人成績が優れた選手を選抜して構成する。かつては「学連選抜」と呼ばれていた。

   日刊スポーツによると、箱根駅伝を主催する関東学生陸上競技連盟(関東学連)は、2024年1月の第100回大会では同チームが編成されないことを昨年6月に発表。これに対し、議論が不十分などの声が上がり、今年4月には東大や東工大などの8つの大学がプロジェクトチームを結成。関東学連に加盟する大学や大学院に対し、議論の場を求めた署名活動を行う事態となった。

   弱小チームの選手にとって、わずかに箱根出場のチャンスがあるのが「連合チーム」だ。マラソンの川内優輝選手も学習院大時代に、「学連選抜」の一員として出場したことがある。川内選手や、かつて「連合チーム」の監督を務めたこともある青学大の原晋監督がメディアの取材やSNSで今回の決定に疑問を呈したことで、一時は波紋が広がった。

   日刊スポーツによると、関東学連は9月5日、臨時の代表委員総会(臨時総会)を開催。投票を経て、100回大会では「連合チーム」を編成しない方針を正式に決定したという。

注目情報

PR
追悼