新型コロナの死者が世界で拡大傾向 日本の公表「2か月遅れ」だが
新型コロナウイルスに感染して亡くなる人が、世界的に増えている。米国や、中東、アジアで増加傾向になっている。日本では2023年5月8日から、新型コロナの感染法上の扱いが5類に変わり、死者数の公表は「2か月遅れ」になっている。
「死者報告」は43か国
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は9月6日に記者会見。共同通信によると、新型コロナについて、中東やアジアの一部で死者数が増加していると指摘した。
現在、WHOに死者数を報告しているのは43か国のみ。このため、「データは限られている」が、「懸念される傾向が続いている」と、警戒を怠らないよう呼びかけた。WHOの担当者は「現在、数十万人がコロナで入院している」と推定している。
米国でも新型コロナの死者が再び増えている。BUSINESS INSIDER JAPANは9月5日、「変異株『エリス』拡大... 米国で急増する新型コロナの入院・死者数、老人介護施設が再び窮地に」と報じた。米疾病対策センター(CDC)によると、ここ数週間で入院者数は19%、死者数は18%増えているという。
米国では、オミクロン株の新たな派生型「EG.5」(通称エリス) が優勢となっていて、感染者の20%以上を占めている。
日本も増えている
日本の直近の死者数は、はっきりしない。新型コロナの感染症法上の扱いが、「5類」に移行したことで、厚生労働省は、毎日の都道府県ごとの死者数の収集・公表を終了。市区町村に提出された死亡届と死亡診断書の情報を、都道府県経由で収集して公表する方式に変更したからだ。このため、死者数の把握・公表は、実態と約2か月のタイムラグが生じている。
NHKによると、ことし5月の全国の死者数は7月28日になって公表された。新型コロナが最も死亡に影響したとされる死者は610人。また、新型コロナが、死因となった病気の経過に影響を及ぼした人も含めた死者数は1367人だった。
現在、厚労省のウェブサイトで6月分が公表されている。それによると、コロナによる直接の死者は765人、コロナに影響を受けた死者を含めると1582人となっている。1日あたり50人超で、5月よりやや増えている。
今回の「コロナ第9波」は、全国的に7月以降に感染が拡大している。同時進行の情報収集ができていないので、7~8月の死者数はまだつかめていない。現在の死者数の把握方式では、「死者数が急増した際に対応が後手に回る恐れがある」(読売新聞)との指摘もある。