新型コロナ感染「1週間で約70万人」  名古屋市立大がデータ分析で推計

   新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。2023年8月21日から27日までの1週間に、全国で約70万人が感染していると推計されていることが、名古屋市立大学デーやサイエンス学部の研究で分かった。今年初めの8波ピーク時の6割強となり、5類移行後の最高を更新した。東京都では1日あたり約1万人余りが感染している。

東京では、1日平均で1万人を大きく超えている
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首都圏で増える

   厚生労働省は9月1日、定点把握に基づく直近1週間(8月21日から27日)の感染状況を発表した。全国約5000の定点医療機関で報告された新規感染者数は計9万3792人。お盆がピークになるのではという予想もあったが、まだ感染が拡大している。

   1定点医療機関あたりでは19.07人。前の週は17.84人だったので、約1.07倍になっている。都道府県別では、岩手31.31人、青森31.30人、宮城29.54人など、前の週と同じく東北地方が目立っている。8波のピーク時は、定点把握の手法で換算すると、全国平均で約30人といわれているので、すでにそのレベルに達している県も少なくない。

   名古屋市立大学データサイエンス学部は、この厚生労働省のデータをもとに、具体的に全国および各都道府県でどれくらいの感染者がいたのかを、データサイエンスの手法を使って分析・推計。結果をウェブサイトで公表している。

   それによると、全国では8月27日までの1週間で、推計69万8793人が新たに感染。実人数では、1都3県の感染者が多いことが分かった。

   東京都は、定点把握の数字は全国平均を大きく下回る14.53人にとどまっているが、推計新規感染者数は8万9719人。1日平均で1万人を大きく超えている。神奈川県も定点把握は18.10人にとどまるが、推計数は6万6779人。1日平均で1万人に迫っている。

推定値は実数に近い

   新型コロナは、5月8日に感染法上の扱いが2類から5類に下げられ、「インフルエンザ並み」となった。感染者数の把握や公表も、それまでの「毎日、全数公表」から、全国約5000の定点医療機関からの報告をもとに、「毎週一回、1週間分をまとめて公表」に変わった。しかも公表数字が、「1医療機関あたり」になっているので、実際のところ全国および各都道府県で何人ぐらいが感染しているのか、きわめてわかりにくくなっている。

   名古屋市立大の間辺利江准教授らの研究グループは、過去の感染データなどを踏まえて独自に推定実数値を算出。その結果、推定患者数及びその解析結果は、実数のものとほぼ変わらないことを確認し、8月1日から公表している。

   CBCの取材に対し間辺准教授は、研究のきっかけについて、「今までと同じような(感染者数の)情報が出ていれば、それを元に、今はこうしようとか、フレキシブルな対応が自分で考えてできるんじゃないか」と語っている。

   最近、全国の多くの大学で次々とデータサイエンス学部が設立されているが、名古屋市立大データサイエンス学部は2023年4月に設立されたばかり。新型コロナについて早々と、一般国民にも分かりやすい形で研究成果を公表することに成功している。

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