コーヒー豆でアフリカ・マラウイを助けたい 日本での売上金を全て給食支援に

   コーヒー豆の売り上げが100%寄付に――。NPO法人せいぼ(以下、せいぼ)の取り組みだ。アフリカ・マラウイ産コーヒー生豆を販売。その売上金を全額、現地での給食支援につなげている。

   日本国内では、コーヒー豆の価格高騰に起因する「カフェ(喫茶店)」の倒産が急増していると、帝国データバンクが2023年8月5日に発表したばかり。価格の変動で支援に影響は出ていないのか。せいぼの取り組みの詳細について、代表の山田真人さんに聞いた。

山田さんとマラウイ現地のコーヒー農家の人(NPO法人せいぼ代表・山田真人さん提供)
Warm Hearts Coffee Clubの商品画像(山田さん提供)
給食支援の様子(山田さん提供)
学校との提携の様子(山田さん提供)
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大洪水で乳幼児の死亡率増

   せいぼは、コーヒー生豆の輸入卸売業・アタカ通商(東京都中央区)を通して仕入れている。アタカ通商は、日本で流通が多くない国の生豆を、他社に先駆けて農園と提携、輸入してきた。長年の信頼関係が奏功し、安定した生豆の輸入が可能になっていると山田さん。なお、価格高騰による支援への影響は特にないという。

   なぜ、世界最貧国の1つで、コーヒー産地でもあるマラウイでの支援に至ったのか。

   山田さんは、英国の通信会社Mobell(モベル)の社員だ。同社代表のトニー・スミス氏が、知人の紹介でマラウイを訪れた際、「自分のビジネスを国際社会の未来のためにも使っていきたい」という思いが芽生えたのが、きっかけだという。

「そこから、売り上げの大部分をチャリティーのために使用するというチャレンジを始めました」

   2015年、マラウイで大洪水が発生。乳幼児の死亡率増をきっかけに、継続的な学校教育と基礎的な栄養の担保として学校給食支援を展開しようと、せいぼを設立した。その活動では、モベルが人件費、営業費用などをサポートし、アタカ通商がコーヒー生豆を多く提供している。だからこそ、売り上げの100%を寄付金にできるのだ。

   コーヒーは、「Warm Hearts Coffee Club」というブランドで販売する。その売上金が寄付収入としてせいぼに入り、現地に送金される。

風味優れた高品質なコーヒー

   取り扱っているコーヒー生豆は提携農園にて、手摘みで収穫される。それをバイヤーとの取引所(ビジネスセンター)に持っていくことで、農家が現金収入を得られるという。

   手摘みのとき、「アラビカ種」の中でも高級な品種「ゲシャ種(編注:日本語では「ゲイシャ種」と呼ばれることもある)」が意図せず混ざることもあるそうで、結果的に風味の優れた高品質な「スペシャルティコーヒー」になっていると山田さんは話した。

   ビジネスセンターでのコーヒーの全製造プロセスが、開発途上国の小規模生産者・労働者の持続可能な開発を促進することを目指して設計された「国際フェアトレード」の認証を持つ。認証を受けるには、生産地に対して、輸入組織から「フェアトレード・プレミアム」と呼ばれる奨励金の支給が必要だ。これは、現地の幼稚園や農学校など、農園の関連コミュニティーの発展に活用されている。

   手作業など、丁寧な作業工程を実施する農地の特徴や、高品質なコーヒーの性質、そしてNPOが取り扱っているということで、せいぼが取り扱うコーヒー豆は日本の教育現場での学習にも活用されている。探究学習の一貫として、現地を調べる学習やコーヒー販売による寄付などにもつながっているという。

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