「VRChat」にスマホ版登場 想像以上に「サクサク使えるので驚き」

   メタバースプラットフォーム「VRChat」。そのモバイルアプリ(スマートフォン)版が2023年8月17日に公開された。基本ソフト「Android」搭載端末が対象だ。これまでには「Windows」搭載パソコンやVR(仮想現実)ゴーグル用のソフトのみが公開されてきた。

   今回は、テスト公開にあたる「アルファ」版という位置付け。ただVRChat公式サイトの発表によると、スマートフォン版はVRゴーグル「Meta Quest」版VRChatと同等、あるいはそれ以上の品質での動作が期待できるという。

スマートフォン版「VRChat」 (画像は東智美さんの提供、一部を編集しています)
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現状限られたユーザーしか使えないが

   VRChatは世界最大のメタバースイベント「バーチャルマーケット」の会場として用いられるなど、多くのユーザーから関心を集めるプラットフォーム。パソコン版ソフトは、ゲーム配信プラットフォーム「Steam」からインストールできる。Steamに関する情報を発信するウェブサービス「STEAMCHARTS」によると、23年7月のVRChatの平均同時接続数は2万3660.6人だった。

   スマートフォン版VRChatは、アプリ配信サービス「Google Play」からダウンロード可能だ。VRChat公式サイトによると、有料サブスクリプションプラン「VRChat Plus」会員のみを利用対象としている。先述通りテスト段階のアルファ版で、技術的に予期せぬ不具合の発見を、テスト目的のひとつとしている。

   同サイトによると、多くのミッドレンジ(中価格帯)のスマートフォンで動作する。ただ最低でも6GB(ギガバイト)のRAM(メインメモリ)と、Androidバージョン「10」環境が必要とのことだ。iPhone(iOS)版VRChatの制作にも取り組んでおり、開発は順調に進んでいるとしている。

   実際の使い勝手はどうか。往来(東京都港区)の代表取締役・東智美(ぴちきょ)さんに取材した。同社はメタバースのマーケティングや、VRChatを中心としたWorld(仮想の世界)プロデュースと制作を手がける。東さんは、スマートフォン「Google Pixel 6a 128GB」という機種で動作を試したという。

   「想像以上にスマホに最適化されていて操作性も良く、読み込みも早く、サクサク使えるので驚きました」と感想を語る。VRゴーグル「Meta Quest2」で体験する以上に画質がきれいに感じられたという。

   負荷テストのため、東さんは約40人のユーザーが同時に接続している空間にアクセス。約15体のアバターが固まって話している間に入った。処理に大きな負荷のかかる状況で、たまに2、3秒、VRChatの動作が止まるときはあったものの、十分「実用には耐え得る」と感じたとのこと。

「カジュアル」層増えるかも

   スマートフォン版の登場について、「VRChatのリッチ(情報量が多い)なグラフィック表現をスマホで体験できるのは大きい」と東さんは続ける。

   またVRゴーグルやパソコンを用いるよりは、簡単にVRChatに入れる。VRChat上で撮影した画像をアプリで編集してすぐにSNSにアップできるメリットもある、と触れる。

「今まで来づらかったカジュアルユーザー層が(VRChatに)増えればいいなと思っています」(東さん)

   ライト層のユーザーが増え、VRChatの文化が広がっていくことで、企業もより参入や投資がしやすくなるのではないかと分析した。

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