コロナウイルスに新たな変異株 世界で感染拡大、パニック起こす必要ないが
新型コロナウイルスの新たな変異株「EG.5」が登場、世界各国で感染が増えている。すでに「エリス」というニックネームもつけられている。世界保健機関(WHO)が「注目すべき変異株(VOI)」に指定、警戒を強めている。
日本でも2番目に多い
「EG.5」はオミクロン株「XBB.1.9.2」系統の子孫株。今年に入って新たに確認された。 米疾病対策センター(CDC)のデータによると、米国内でのEG.5の感染者の割合は、2023年7月22日までの2週間は11.9%だったが、8月5日までの2週間は17.3%となり、主流だったXBB.1.16を上回っている。
EG.5にはEG.5.1という派生型もある。日本ではまだXBB.1.16が最も多いが、直近ではEG.5.1が増えて2番目に多くなってきている。
共同通信によると、EG.5が世界全体の感染例に占める割合は6月19~25日には7.6%だったが、約1か月後の7月17~23日には17.4%にまで上昇。WHOはこのほど、EG.5を「注目すべき変異株(VOI)」に指定した。
重症化率の変化は確認されておらず、WHOは公衆衛生上の危険性は低いと見ているが、免疫をすり抜けるなど感染力が強くなっているため、警戒を呼びかけている。
FNNによると、EG.5は、中国のコロナ感染者の3割を占めているという。
準惑星「エリス」の名称
東京都健康安全研究センターによると、新型コロナウイルスの変異株は、病原性、感染性、ワクチンおよび治療法の効果などの観点から、VOC(懸念される変異株)、VOI(注目すべき変異株)、VUM(監視中の変異株)などのクラス分けが行われている。2023年3月15日、WHOは声明を出し、オミクロン亜系統全てを独立した系統として評価。VUM、VOI、またはVOCの指定対象とすることを明らかにしている。
VOIは、最も警戒度の高い「懸念される変異株(VOC)」より1段階低い位置付けだ。
米CNNは、EG.5は元々のオミクロン株のように大きく変異したものではなく、ウイルスが少しずつ変異したものだと伝えている。
Forbes JAPANによると、EG.5は、質量が最も大きく、半径が2番目に大きい準惑星の名称から取った「Eris(エリス)」という名で呼ばれている。同誌は「エリスの出現とそれによる感染拡大で、パニックを起こす必要はない。だが、新型コロナウイルスは変異を続けており、いまだ懸念すべきものだ。エリスが現れたことは、そのことを示す一例だ」と強調している。