米メタ新作VRシューティングゲーム公開も 「足がない」アバターたち
米メタは、新作VR(仮想現実)ゲーム「Super Ramble」を2023年8月1日(現地時間)までに公開した。銃を手にしたアバターを使って戦うシューティングゲームだ。ただ7月29日に発表したトレーラー映像を見るに、アバターには足がなく、腰から上が空中に浮遊したキャラクターが撃ち合っている。
同作は、メタ社のメタバースプラットフォーム「Horrizon Worlds」(日本では未提供)内に導入したゲームだ。Horrizon Worlds自体、アバターに下半身がないことで知られる。
アバターに「足」は難しい
2021年12月にサービスを開始したHorrizon Worlds。腰から上だけが空中を浮遊して移動するかのようなアバターの姿は、たびたび日本のSNS上で話題になっている。
2022年10月実施の開発者向けイベント「Meta Connect」の基調講演で、メタCEO(最高経営責任者)のマーク・ザッカーバーグ氏はこの「足がない」問題について言及。誰もが待ち望んだ機能だとして、今後Horrizon Worldsのアバターに足を追加する方針だと発表した。
ザッカーバーグ氏の説明によると、アバターの部位が現実と体と同じような正しい位置にないと、VR空間のリアリティーや没入感が損なわれる。例としてアバターの肘の表現が不自然だと腕が折れているように感じられるとのことだ。
同社のアバターでは当初は腕全体も表示されておらず、VRコントローラーにあたる部位のみを描写していた。ただユーザーの腕の位置を予想する技術が向上したため、アバターの手に加えて腕全体を表現できるようになったとのことだ。同様の取組を、足についても行なっているところという。
一般的なVRヘッドセットは頭部のゴーグルと両手のコントローラーで構成される。ザッカーバーグ氏によればヘッドセットのセンサーで足の動きを追跡しようとしても、たとえば机や腕によって遮られると難しくなる。そのため、アバターに足を表現するのは難しいとの説明だ。そこで、ユーザーの全身の位置を予測するためのAI(人工知能)モデルを構築する必要があるとしている。
ただSuper Rambleのトレーラー映像を見るに、アバターの足はまだ追加されていなようだ。
マイクロソフトのアバターでも
上述の「Meta Connect」で、ザッカーバーグ氏はアバターの足は表現が難しいとし、「他のVRシステムにも足がないのはそのためです」としていた。その言葉通り、「アバターに下半身がない」というVRサービスはいくつかある。
たとえばパソコンやVRゴーグルに対応したソーシャルVRプラットフォーム「Rec Room」。アバターの見た目はシンプルで、頭部、胴体、手はあるが、腕と足はない。こちらでも今後、腕や脚のそろった全身アバターを提供する予定だと2023年1月に発表している。
米マイクロソフトが2021年11月に発表した「Mirosoft Mesh」というサービス。VRゴーグルを着用した企業の従業員同士がアバターの姿にて、仮想空間内で会話できる。2023年8月10日現在、マイクロソフト公式サイトを見る限りでは、使用アバターに下半身は無く、空中に浮遊する仕様となっている。