少子化で高校の「廃校」増える 大阪、神奈川、埼玉と都市部でも
生徒数が減って、廃校や統合になる公立高校が増えている。過疎化が進む地方だけではなく、最近は神奈川、大阪、埼玉などの都市部でも増加。少子化問題の余波が、じわじわと高校にも及んでいる。
「再編整備」が進む
大阪府教育委員会は2023年1月、2023年度からの5年間で府立高校9校程度の生徒募集を停止する案を公表している。府はすでに12年に施行した府立学校条例で、3年連続で定員割れし改善の見込みのない高校を再編整備の対象にすると定めていた。
神奈川県は22年9月、全日制県立高校のうち10校を、27年度までに2校ずつ統合して5校に再編する計画案を公表している。
朝日新聞によると、26年度に田奈(横浜市青葉区)と麻生総合(川崎市麻生区)、小田原城北工業(小田原市)と大井(大井町)を、27年度に旭と横浜旭陵(いずれも横浜市旭区)、横浜桜陽(同市戸塚区)と永谷(同市港南区)、藤沢清流(藤沢市)と深沢(鎌倉市)をそれぞれ統合し、新校を設置する。統合後の新校は、それぞれ田奈、小田原城北工業、旭、横浜桜陽、藤沢清流の敷地や施設を使う予定。
同県教委ではすでに16年1月、142校ある県立高校のうち20~30校を削減する計画を策定していた。
同じく朝日新聞によると、埼玉県教育委員会も22年7月、134校ある全日制県立高校のうち12校を2校ずつ統合し、2026年度から6つの新校に再編する計画案をまとめている。
「ソフトランディング」に知恵を絞る
日本では少子化で人口減が進んでいるため、小中高のそれぞれの段階で、以前から学校の統廃合が続いている。高校の数は2006年頃から緩やかに減少しているが、近年、都市部でも統廃合が報じられるようになっている。
ただし、地域住民やOBなどの反発も予想されるため、各地の教育委員会は「ソフトランディング」に知恵を絞っている。
6月29日の中国新聞によると、広島県では県立高の統廃合に「新基準」を設ける方針だ。
同県では1学年1学級規模の全日制校の統廃合について、現在は「全校生徒が2年連続で80人未満」が基準となっている。それを、2024年度以降は「新入学生徒が3年連続で27人未満」に変える。
これにより、現行基準で検討対象になっている湯来南(広島市佐伯区)、上下(府中市)、西城紫水(庄原市)の3校は、本年度の統廃合の判断は見送られる。ただし、来春の入学者数が27人未満になった場合、25年度から生徒募集を停止するとしている。