ヘルパンギーナ過去10年で最多の流行 25の都道府県で警報レベル

   夏風邪の一種、「ヘルパンギーナ」の流行が拡大している。主に5歳以下の子どもがかかりやすく、発熱のほか、口の中に水ぶくれができたり、のどが痛んだりする。過去10年では最多の流行状態となっている。

   新型コロナウイルスに加えて、ヘルパンギーナの流行で、各地の小児科医院は患者が急増、対応に追われている。

予防には、手洗い、咳エチケットが有効
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原因のウイルスが複数ある

   NHKによると、全国およそ3000の小児科の医療機関から報告されたヘルパンギーナの患者の数は、今月2日までの1週間で合わせて2万360人。1医療機関当たり6.48人。これは過去10年で最も多かった前の週をさらに上回っている。

   1医療機関当たりの患者数が「6」を上回ると警報レベルとされているが、最も多い宮城県は15.85人。三重県や鹿児島県、群馬県でも10人を上回るなど、25の都道府県で警報レベルを上回っている。

   宮城県では感染拡大で、6月16日から警報が出ているが、患者が増え続けている。

   NHKの取材に、日本小児科医会で感染症対策に携わる峯眞人理事は、「ヘルパンギーナは原因のウイルスが複数あり、今後も患者が増える可能性がある。これだけ急激に広がったウイルスはこれからも消えてなくなることはないので、マスクや手洗いなど基本的な対策をとってほしい」と話している。

長期にわたり便にウイルス

   東京都感染症情報センターのウェブサイトによると、ヘルパンギーナは、かかった人の咳やくしゃみ、つばなどのしぶきに含まれるウイルスによって感染する(飛まつ感染)。さらに、水疱の内容物や便に排出されたウイルスが手などを介し、口や眼などの粘膜に入って感染する(経口・接触感染)。

   予防には、手洗い、咳エチケットが有効で、予防接種はない。特別な治療法も無く、症状に応じた対症療法が行われる。

   主な症状は、2~4日の潜伏期の後、突然の高熱、咽頭が赤くなって痛み、口腔内に水疱が現れる。2~4日で解熱し、7日程度で治癒する。高熱による倦怠感や口腔内の痛みなどから、食事や水分を十分にとれず、脱水状態になることもある。合併症としては、熱に伴う熱性けいれんと、まれに髄膜炎や心筋炎がある。

   口の中に水疱ができ食事がとり難いため、柔らかく薄味の食事を工夫し、水分補給を心がけることが大切だという。

   国立感染症研究所のウェブサイトによると、主症状から回復した後も、ウイルスは長期にわたって便から排泄されることがある。そのため、急性期のみの登校登園停止では、学校・幼稚園・保育園などでの厳密な流行阻止効果は期待ができない、という。

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