「頭文字D」3D空間で再現 レーシングゲーム好きメタバースクリエイター
ヘッドライトを光らせ、夜の山道を駆け抜けるトヨタ・AE86スプリンタートレノ――。レーシングゲームのコースのような3D空間を、メタバース(仮想空間)上で再現して公開しているユーザーがいる。インドネシアのユーザーで、メタバースプラットフォーム「VRChat」でワールドクリエイターをしている「Jintei」さんだ。
いわゆる「走り屋」をテーマにした漫画・ゲーム「頭文字D」シリーズに登場するコース「秋名山」や「妙義山」をはじめ、レーシングや車を題材として公開するワールドは30種類以上に及ぶ。
頭文字D以外のレーシングゲームも再現
例えば、「Akina」という名前のワールド。ゲームセンターで展開するアーケードゲーム「頭文字D ARCADE STAGE 8 インフィニティ」の「秋名」コースをモデルにしたワールドだ。
コースの両脇には「AE86」や日産・スカイラインGT-R(32型)、スバル・インプレッサWRXX STIなど、頭文字D作中に登場する自動車が数種類配置されており、運転席に乗り込めば操作できる。
車の操作方法としては、左手のVRコントローラーでヘッドライトの起動やブレーキ、ハンドブレーキを操れる。右手でシフトチェンジや加速を行なう。ステアリングは、両手で回せる。
真っ暗なコースにヘッドライトが点くと、気分は「走り屋」に。ギアをニュートラルから1速に入れ、2速、3速と切り替えながら加速していく。AE86特有の「プアアア」としたエンジン音が響き、ぐねぐねとしたカーブを曲がっていくと頭文字Dの世界に入ったかのような臨場感がある。ただし、VR酔いしやすいため注意が必要だ。
記者は1人でJinteiさんが公開するワールドにログインしたが、もちろん複数人で入ればレースが可能だ。ほかにも、「秋名湖」や「碓氷」「七曲り」など、頭文字Dの舞台になったコースを20種類近く制作している。また、同作以外に、他のゲームや現実の車道を再現したコースもある。
2009年に発売されたゲーム「Colin McRae:DiRT 2」に登場するコース「Battersea Air」や登場する車を再現したワールドはその一例だ。視界に砂ぼこりが漂うダートコースらしい空間だ。
他のワールドクリエイターに教わって
Jinteiさんに取材した。自動車やレーシングゲームを遊ぶのが好きだと話す。2018年にVRChatを始めたが、きちんとしたドライブ用のワールドが存在しなかったため、作り方を学んで自分で制作ことにしたという。
当初はシンプルなショールームのようなワールドしか作っていなかった。しかしある日、駐車場を舞台に自動車でドリフトができるという趣旨のワールドを発見したという。この空間の制作者に連絡をとり、ワールドを作るのに必要な3D部品の使い方などを教わった。この時教わったことを応用し、レーシングコースを作り続けているのだという。
現在では「カーワールドクリエーター」であり、またVRChatの車好きなユーザーが集まる国際的なコミュニティーのオーナーでもあるとのことだ。
メタバース、特にVRChatについては「車やレーシングゲームなどに興味を持つ人々に出会える機会」として考えているとのことだ。