町工場がメタバースに 仮想空間でも「ものづくり」自社で3Dモデル制作

   大阪にある町工場がメタバース(仮想空間)に進出した。オーダーメイドでの部品加工を手がける「湯本電機」(大阪市)は、本社工場を再現したメタバース(仮想空間)「YUMOTO SPACE FACTORY」を制作。メタバースプラットフォーム「VRChat」上で2023年6月20日から公開している。

   6月29日の同社発表によると、「新たなものづくりの領域へ挑戦する決意表明として、社内のメンバーのみでゼロから制作」した空間という。

「YUMOTO SPACE FACTORY」の工場エリア内
本社が右側奥、工場エリアは右側中央の白い建物
湯本電機や加工について学べる宇宙エリア
「丸棒」に乗って加工体験
回転する刃物に向かって丸棒が飛行していく
同社が手がけた3Dモデルを展示
インスタグラムの画面風のフォトスポットも
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宇宙空間で社会科見学

   「YUMOTO SPACR FACTORY」では、大阪市内にある本社と工場を再現。実際の工場を模した工場エリアと、加工体験ができる宇宙エリアの2つのエリアがある。発表によると、製造業や部品加工業界について広く知ってもらいたいとの思いから、「ポップな雰囲気」にまとめたとのことだ。

   工場エリアは緑色の床に加工用機械やドラム缶、段ボールが設置されており、町工場らしい雰囲気を味わえる。

   宇宙エリアの「旋盤」フロアでは、「材料側の目線」で機械による加工を体験できる「旋盤コースター」を用意。円柱型の「丸棒」に乗り、ワールド内の「スタート」というボタンを押すと、丸棒が宇宙空間内を飛行する。回転する加工用刃物を横切ると、丸棒が削られて小さくなっていく。フロア内ではパネルにより、旋盤加工の流れに関する解説が表示されている。

   「3D」フロアでは、湯本電機が作成した3Dデータを展示。説明書きによると、現実で加工し、作成したことのある物品が多い。透明樹脂の「りんご」オブジェやアルミ素材の猫型スタンド、プラスチック素材の名刺入れなど、10点以上が展示されている。

   「写真」フロアでは、同社が作り、インターネット上で販売している3Dモデルを展示している。記念撮影のできるフォトブース付きだ。

   「ヘッドギア」という名前のカチューシャは連なった歯車の形をしており、工場らしさあふれるアイテムだ。同社オリジナルボールペン「Gyro」の3Dモデルも販売。「回りすぎるボールペン」という触れ込みのペン回し用ボールペンとして、現実でも販売している品だ。ほかに、光沢を帯びた「日本刀・鞘セット」も用意している。

メタバースでの事業可能性探る

   J-CASTトレンドは湯本電機のメタバースプロジェクト担当に取材した。担当者によると、「メタバースでの事業展開の可能性を探るため」にワールドを制作した。

   同担当者によると、プログラミングによる3D空間やオブジェクトの作成は、部品加工と共通する部分が多いという。この領域でもオーダーメイドで様々な製品を作れるのではないかと考え、実際に試したとのこと。

   6月29日の同社発表によると、同社は「ものづくりのための新たなプラットフォーム」の立ち上げ準備をしている。担当者によると、現段階では「YUMOTO SPACE FACTORYやメタバースと関連」するプラットフォームになる予定とのことだ。

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