沖縄でコロナ感染拡大が深刻 医療ひっ迫の恐れ、救急搬送が困難な例も

   新型コロナウイルスの感染が、沖縄で急拡大している。最新の定点把握のデータによると、前の週の1.5倍以上の感染者となっている。入院患者も増えて、一般医療にもしわ寄せが及んでいる。

医療現場は厳しい状況に(画像はイメージ)
Read more...

前の週の1.5倍の感染者

   沖縄県は2023年6月22日、新型コロナウイルス感染者数の定点把握状況を発表した。沖縄タイムスが詳細を伝えている。

   それによると、6月12日?18日の1週間に、県内54定点医療機関で計1552人の感染者が確認された。1定点当たり28.74人で、前週(18.41人)に比べて約1.56倍に増えた。地域別だと、沖縄本島南部で1定点当たり40.79人と感染が最も拡大している。コロナ病床使用率は18日時点で57.8%。507人が入院しており、うち9人が重症。

   一般医療にも影響が及んでいる。20日時点で、県内で7医療機関が救急を、3医療機関が一般診療を制限。救急搬送に時間を要する搬送困難事例も増えている。

   感染拡大で、15~21日の1週間に、公立小学校3、中学校4、高校8、特別支援1の計16学級で学級閉鎖があった。

観光客も感染

   琉球新報によると、沖縄県立八重山病院の和気亨病院長は6月22日、石垣市の院内で緊急の記者会見を開き、市内で新型コロナウイルスの患者が急増し「医療が逼迫(ひっぱく)しつつあり、このままでは破綻する」と訴えた。

   八重山病院にはコロナ専用病床が10、重症者用が1の計11床あるが、現在は満床状態となっている。ここ1週間で感染者が急増し、地元住民だけではなく観光客が感染する事例もあるという。

   発熱などの救急受診者が増え、平常時は1日40~60人程の受診者だが、17日は100人超となり、八重山病院の人員で患者を診られる限界に近い数に達したという。

   呼吸器内科医で、『新型コロナ病棟ナース戦記 最前線の現場で起きていたこと』などの著書がある倉原優さんは、「Yahoo!ニュース個人」で、「何人かの沖縄県の医師に聞いた」という現地の状況などを伝えている。

   それによると、「体感としては過去の医療逼迫と似た水準」「沖縄県では医療従事者の感染が増えており、これが人的資源の枯渇を招いています」とのことだ。

   全国の状況について、倉原さんは、マスメディアでは「緩やかな感染拡大」と報道しているが、地域差も大きく、実際はすでに「急速な感染拡大」が起こっている懸念がある、とも指摘している。

   テレビ朝日によると、6月12日から18日までの1週間に報告された全国の1定点医療機関あたりの患者数は「5.60人」。前の週の「5.11人」に比べておよそ1.1倍となっている。

注目情報

PR
追悼