日産「メタバースショールーム」体験 購入の相談、試乗から契約まで

   メタバース(仮想空間)上のショールームで、自動車の試乗から購入契約まで――。日産自動車が、こんな実証実験を2023年3月8日から実施している。仮想店舗の名前は「NISSAN HYPE LAB」だ。

   日産グループの販売会社「日産東京販売」の店舗スタッフがメタバース内で対応し、車の購入の相談に乗る。日産に取材し、実際に契約体験をした。

仮想店舗に設置された「日産エクストレイル」
こんなに選べる必要ある?とツッコミを入れたくなるほどアバターを自由にカスタマイズできる
「日産サクラ」 カラーを自由に選んで雰囲気をつかむ
内装も精巧に再現 運転席の様子を確認できる
商談を希望すれば、日産東京販売スタッフ(右側)が対応してくれる
仮想のディスプレーを通して資料表示や契約説明を行なう
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アバターメイキングが超細かい

   「NISSAN HYPE LAB」は、パソコンやスマートフォンのウェブブラウザーからアクセス可能。利用には、日産グループの会員サービス「NISSAN ID」が必要だ。HYPE LABは、「VIRTUAL SHOWROOM」と「PERSONAL ROOM」と「360° DRIVING VIEW」の3つのエリアで構成される。

   「VIRTUAL SHOWROOM」は、ディーラーのショールームのような空間。近未来的な雰囲気の中に、日産自動車の「サクラ」「エクストレイル」「フェアレディZ」「アリア」が展示されている。いずれかをクリックすると車が回転し、外観を観察できる。

   ユーザーは、アバターの姿で空間内を回れる。常駐する「バーチャルスタッフ」(営業時間は11時~20時)やログインしている他のユーザーと、音声で会話可能だ。

   アバターは、アニメ調ではなく写実的な外観。車の販促を主旨としたメタバースながら、見た目は好みに合わせてかなり細かくカスタマイズできる。肌の質感、色合い、体毛、筋肉量、さらに上半身の服、下半身の服、眼鏡などを細かく選べる。帽子の項目では宇宙飛行士風、バイキングのかぶと風、コック帽とバラエティーに富んでいる。

   「PERSONAL ROOM」は、ユーザーと日産スタッフのみがアクセスできるプライベートな空間。部屋の奥には3Dシミュレーターが設置され、サクラかエクストレイルを自由にカスタマイズできる。

   グレード(装備や性能の違いによる等級)や車体の色、内装パターンを選択。外観や運転席からの内観の様子を確認して、購入の検討材料にするのだ。「360° DRIVING VIEW」では、カスタマイズした車が水辺や丘に面した自然豊かなコースを自動で走行。ドライブ時の雰囲気を大まかにつかめる。

仮想ディスプレー通して説明

   購入相談や契約をしたい場合は、VIRTUAL SHOWROOM内のバーチャルスタッフに話しかけ、予約する。約束した時間にPERSONAL ROOMに行けば、日産東京販売のスタッフがアバターの姿で入室してくる。購入に関する相談は、東京都内に住むユーザーのみを対象として受け付ける。他県ユーザーの場合は、対応するエリアの販売店を紹介しているとのことだ。

   今回は記者が、日産サクラを検討している設定で契約体験した。まずは3Dシミュレーターを使い、グレードやカラーの組み合わせを検討する。

   PERSONAL ROOM内には、仮想のディスプレーがある。販売担当者は、実際の店頭でも使用している画像や動画といった説明資料をここに投影。「エンジンでなくモーターで走るため音が静かで、音楽を聴きながら楽しく運転ができます」などと、サクラの特徴を説明していく。

   ユーザーのカスタマイズ内容に応じた見積もり内容も表示してくれる。今回は「X」グレードとした上各種オプションを追加し、支払額合計は325万円との見積もりだ。

   契約に進むと、電子契約注文書がユーザーの元にメールで送られてくる。これにスマートフォンなどで電子署名を行ない、日産側に送信。PERSONAL ROOM内のスクリーンで注文書の内容を最終確認し、契約完了だ。見学から契約まで、オンラインで完結する。

   仮想店舗の強みを広報担当者聞くと、来店者が時間や空間の制約に縛られない点を挙げた。カーディーラーへの来店にハードルの高さを感じる人や、普段は仕事で時間を取れない人でも気軽に相談できる点がメリットとのことだ。実証実験の期間は、7月31日まで。

2023年6月21日11時15分追記:当初、実証実験の期間は6月30日までと表記していましたが、その後期間に変更があったため修正しました。

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