原点は「もったいない精神」 「男の終活」掲げる成人向けDVDショップ(後編)

「誰かの不要は誰かの必要」

   これは、利根書店を展開するプリマベーラのスローガンだ。メイン事業は、中古アダルトDVDの買い取り・販売。同社広報の亀井彬さんは、こうした取り組みについて、「捨てないことは、環境保全に貢献しやすいのではないでしょうか」と話す。

   前編では同社の「男の終活」に焦点を当てたが、後編では、リサイクル、リユースの面に注目してみた。

店内にはリサイクルボックスを周知する吊り下げポスターが多数見られた
利根書店全店にあるのは、青いリサイクルボックス
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パッケージがない「お宝探し」


ケースがないため、通常の5倍近い陳列が可能に

   店内を見ていると、パッケージなしに、薄手のプラスチックケースにディスクが入った商品が棚にぎっしり並べられていたのが気になった。ジャンル分けなどはされているが、ディスクにあるのは文字情報ばかりで、肝心の中身はほとんどわからない。

   10年ほど前、購入者の声を受けて始めた取り組みだという。レジで、「ディスクだけにして」と言われることがあり、「ならば、ディスクのみを売ればいいじゃないか」と実行した。中身の情報がわからないが、パッケージがない分、格安になっている。亀井さんは「なんだか、お宝探しみたいですよね」と話す。


入口すぐ横に置かれた「DVDケース回収」ボックス

   ほぼ同時期に、店頭にボックスを設置して不要なDVDパッケージの回収もスタートした。集めた後、ケースのみで販売することもあれば、ケースが必要な商品に使う場合もある。状態が悪くない限り、再利用する。

レンタルDVDの返却ボックスのような使い方

   店頭でパッケージ回収箱以上に目立つのは、いくつも置かれたリサイクルボックスだ。不要となったDVDそのものを集める。「奉納」と書かれ、鳥居と神棚のような装飾が施されたボックスも見られる。24時間利用可能で、もちろん何を入れたか見られる心配はない。


リサイクルを呼び掛ける看板と一緒に(このリサイクルボックスは深谷店のみ)

   店では、333円の中古ディスクがある。これを購入し、後日同店に売ることもできるが、買った時よりは低い価格にしかならない。そのため、売るための手間を面倒だと考え、中古ディスクをリサイクルボックスに入れる人も多いという。

「(店が)営業中でも、ボックスに(ディスクを)入れて、買い物して帰る。次の来店時に、前回買ったディスクを入れて...という使い方をする人もいます」

   なんだか、レンタルDVDの返却ボックスのような使い方だ。これなら、家にディスクがたまり続けることはない。ゴミとして捨てるよりも確実に誰にも見つからず、いい方法かもしれない。亀井さんによると、リサイクルボックスはほぼ毎日利用され、日によっては満杯になるという。

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