手塚治虫の名作「ブラック・ジャック」新作が出る AIの力使って

   漫画家・手塚治虫氏が描いた「ブラック・ジャック」の新作が、2023年秋に公開される。もちろん、手塚氏が筆をとるわけではない。AI(人工知能)と人間が協力しながら制作するという。手塚作品の出版やアニメ制作を手がける「手塚プロダクション」が、2023年6月12日に発表した。

   プロジェクト名は「TEZUKA2023」。メンバーとして、手塚プロダクション取締役・手塚眞氏や、AIを研究している慶応義塾大学の栗原聡教授(理工学部)らが参加する。2人は2020年にも「TEZUKA2020」というプロジェクトに参加していた。こちらもAIを使い、手塚氏の「新作」漫画を制作する企画だった。

「ブラック・ジャック」の「新作」を作る (画像は手塚プロダクションの2023年6月12日付発表から)
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「週刊少年チャンピオン」に掲載予定

   「TEZUKA2023」でテーマにする「ブラック・ジャック」は、1973~83年まで「週刊少年チャンピオン」(秋田書店)で連載された。無免許の天才外科医、ブラック・ジャックの活躍を描いた医療漫画だ。

   冒頭で触れた「TEZUKA2020」は、手塚プロダクションと記録媒体メーカー「キオクシア」が立ち上げた。手塚作品の内容を学習したAIが、プロットやキャラクターデザインの原型を提供。これに基づいて、人間が漫画を制作した。

   完成した漫画のタイトルは「ぱいどん」。キオクシア公式サイトによると、2030年の東京を舞台に、記憶をなくしたホームレス・ぱいどんが、小鳥ロボット・アポロとともに事件を解決していくストーリーだ。

   「TEZUKA2023」では、「ブラック・ジャック」を学習したAIと手塚プロダクションのクリエイターがやりとりを重ね、同作の「新作」を制作する。23年秋に「週刊少年チャンピオン」に掲載予定とのことだ。

   発表資料のなかで、手塚プロ・手塚眞氏は、前回プロジェクトを実施した2020年と比べAIが飛躍的に進歩したと説明。「さまざまなクリエイターが実際にAIと共同制作することで、コンテンツ作りの新たな方法論を生み出せるでしょう」とコメントしている。

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