粗大ごみを販売、メルカリにも出品 自治体が主導するリユースの動き
自治体が回収する粗大ごみ。まだ利用できそうな家具を、インターネット上やリサイクルショップで販売する行政の動きが複数出ている。
フリマアプリ「メルカリ」内で利用できるECサイト「メルカリShops」では、2023年6月5日から8件の自治体が販売を開始。うち、名古屋市と茨城県行方市は、粗大ごみを出品している。
ベースにギターが格安
メルカリShopsでのショップ情報によると両市は、家庭から回収した粗大ごみのうち、使用可能なものを出品している。排出されるごみの減量や、市民のリユース意識向上のための取り組みだ。
名古屋市のメルカリShops内ページを見ると、300円(税込、以下同)のイスや机、姿見など安価な商品が40品近く出品されている。中には300円のエレキベースや1200円のアコースティックギターも。いずれも粗大ごみとされていたものだ。
行方市では9品が出品中。サイドボードやイスのほか、5000円の熊の置物や七福神・布袋の像など、変わった品が販売されている。
商品の発送はなく、購入者が直接ごみ関連施設で引き取る。名古屋市では「南リサイクルプラザ」で、行方市では「行方市環境美化センター」で受け渡す。
「ジモティー」も選択肢
こうした動きは、他にも。町田市では粗大ごみ収集業者「まちだエコライフ推進公社」と協力。粗大ごみを修理、再生し、市内の「リサイクルショップまちエコ」で安価で販売する取り組みをしている。
東京都品川区では、2022年9月から地域密着型の取引サイト「ジモティー」を活用。粗大ごみの中から使えるものを選別し、ジモティー上で引き取り手を募集している。受け取るには品川区資源化センターまで向かう必要があるが、受け渡しは無料だ。23年6月8日現在は、空気清浄機やスチームオーブントースター、ゴルフクラブなど幅広いジャンルの品が掲載されている。
環境省では自治体に向け、リユースの取組方法についてまとめた「市町村による使用済製品等のリユース取組促進のための手引き」を2015年に公開するなど、リユース品の活性化を推進している。
同省が23年3月に公開した「令和4年度適正なリユースの促進及び違法な不用品回収業者対策に向けた調査・検討業務報告書」。そこに、三菱UFJ リサーチ&コンサルティングによる「リユースの取組」についての調査結果がある。22年11月9日~12月9日にかけ、1741件の自治体に実施したものだ。
回答数は、1143件。うち、29.6%(338件)ではリユースの必要性の情報提供など、リユースの普及啓発活動を実施。13.4%(153件)は、ごみとして回収したものを選別して販売したり、リユース業者が買い取ったりする「市区町村回収後選別」に取り組んでいるとのことだ。