FXサービス「GEMFOREX」停止 資金難で出金遅延を繰り返し
FX(外国為替証拠金取引)サービス「GEMFOREX」は、2023年5月31日にサービスを停止した。サイト上での5月26日の発表によると、22年12月から、利用者による取引口座からの出金に遅延が生じていた。
停止前日の23年5月30日には、銀行による入金が一時的に利用できない状態となっていた。翌31日の発表によると、M&Aによる全事業の譲渡を協議しており、一時的にサービスを休止することになったという。
50億円持ち逃げされる
公式サイトによると、カリブ海の「セントビンセント及びグレナディーン諸島」にある「GemTrade LLC」が展開しており、2014年にサービスを開始した。国外で事業登録しているものの、経営陣は5人中4人が日本人。経営、システム、サービス、サポートのすべてが日本製としている。
5月31日の発表によれば、同社では資金難を背景とした出金遅延が継続的に発生している。
まず22年中ごろに集団による「第3者名義貸し」や「口座転売」行為が起きた。FX業者のサービスに登録し口座を開設すると、「ボーナス」として取引に使える数万円分のクレジットをもらえる場合がある。GEMFOREXでは、これを利用して利益を得るために不正な取引を行なう「ボーナスアービトラージ」が横行し、大きな損失が発生したという。
22年後半には決済代行会社Aによる約50億円の持ち逃げや、同Bによる約10億円の未払いが発生。これらの損害によって資金難に陥ったとの説明だ。
23年5月25日から、M&AによりGemTrade LLCの株式100%や全顧客の譲渡を協議(買収元は未公表)している。交渉提示金額は10億ドル(約1399億円)という。新たな経営陣と話し合うなかでサービス継続よりも出勤遅延の解決が先決と考え、一時停止となったとしている。
M&Aによる株式等の譲渡は23年8月1日を予定している。事業継承金額を利用者の出金額に充てる考えとのことだ。