クルミッ子の転売策「アナログですが」 鎌倉紅谷が試みる意外な防止法
有名人グッズや人気食品の高額転売。メーカーや販売者が、独自の転売対策をとることがある。製菓会社「鎌倉紅谷」(神奈川県鎌倉市)は、同社が製造する「クルミッ子切り落とし」で、2023年4月から新たな転売防止策を取り入れている。
商品裏の、食品情報を表示するラベル下部に「希望小売価格1,242円(税込)」と記載しているのだ。同社代表の有井宏太郎氏は5月17日、自身のツイッターで「アナログですが意外と今まで盲点だった方法を試みております」と説明している。
価格表示に込めた2つの意図
鎌倉紅谷の人気商品「クルミッ子」は、キャラメルやクルミをバター生地ではさんだ菓子。この製造時に生まれる切れ端を袋詰めにしたのが、今回転売対策が施されている「クルミッ子切り落とし」だ。
ラベルに希望小売価格を表示したねらいを、同社に取材した。2つの意図がある。ひとつは、消費者への注意喚起だ。
たとえば、フリマサイトで通常価格よりも高い値段が設定されていることを認識せず「クルミっ子」を買ってしまったケース。こうした事例で、「『高額な転売品を購入してしまった』と気付いていただき、次回以降ご注意いただく」ために導入している。
もうひとつは、適正価格を表示しておくことで、いわゆる「転売ヤー」にとって商品として扱いにくくさせ、高額転売を抑止するためだと語った
以前から転売を問題視している鎌倉紅谷。2021年8月3日には、公式サイトで「転売商品にご注意ください」と題した注意書きを掲載している。「クルミッ子」「クルミッ子切り落とし」をはじめとした同社製品が、大手ECサイトやフリマサイトで高値にて取引されているのだという。
当時の情報として、こうした転売品は鎌倉紅谷の販売価格よりも1.5倍~5倍といった価格での販売ケースが多かったとのことだ。