「AIイラスト規制」クリエイター向けサイトで続々  取り扱い一時停止相次ぐ

   既存の絵を学習したりユーザーの指示を受けたりして、イラストを生成できるAI(人工知能)ツールがある。

   クリエイターがイラストを売買、あるいはファンに向けて有料で作品を公開できるサービスでは、AI製のイラストについて規制を設ける事例が相次いで出ている。

クリエイター向けサイトでのAIイラストの掲載に規制の波(写真はイメージ)
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本来目指していたサービスの姿とは異なるため

   月額性ファンコミュニティー「pixivFANBOX」。ファンがクリエイターに毎月支援金を支払い、クリエイターを応援できるサービスだ。クリエイター側は創作活動についてファンに向けて報告したり、支援者のみに対象を限定してイラストや動画を投稿できたりする。

   FANBOX運営は2023年5月10日、「AI生成作品の取り扱いを当面のあいだ禁止」すると発表した。説明によると、同サービスは、ファンからの継続的な支援によってクリエイターの創作活動をより良いものにしたいとの思いで開始した。

   一方、現在は生成AI技術により大量に作成したコンテンツの販売のみを目的とした利用が多くなっており、本来目指していたサービスの姿とは異なるため、取り扱いの禁止に至ったという。

   同じくファンが有料でクリエイターを支援できるサービス「ファンティア」も、「AI生成による作品の取り扱いを一時停止」すると5月10日に発表した。

   2022年10月からAI作品専用のカテゴリを新設し、人の手による作品とAI製を分けてサイト内で表示する取り組みを行なっていたが、「昨今の状況を鑑み、クリエイター様とその作品を守る対応が必要」と考えたとのことだ。

   ほかに、クリエイターを支援できる有名サービスとして「Ci-en(シエン)」というサイトがある。FANBOXやファンティア同様、クリエイター側はファンに向けイラストや音声作品の掲載などを行なう。

   5月10日から11日にかけてのツイッター上では、FANBOXやファンティアでの規制を受け、AIを使ってイラストを生成するユーザーがCi-enに流入するのではないかと推測する声が複数みられた。

   一方でCi-enも5月11日、AI生成コンテンツについて「一時的に受入れを停止する」と発表。説明によると、同サービスでは「画像生成AI技術の急激な発展に対し、対策やガイドライン・ポリシーの整備が追いついて」いない。

   AI生成コンテンツの投稿を受入れることによる既存のクリエイターへの影響を考慮し、禁止に至ったとのことだ。

イラスト依頼サイトでも

   ファンからの有料リクエストを受け、クリエイターがイラストや音声作品を製作すると報酬がもらえる「Skeb」というサービスがある。公式サイト上では「投げ銭付お題募集使途」と説明している

   「Skeb」はクリエイター向けガイドラインで、「イラスト」ジャンルの作品について、AIが生成したデータを納品することはできないと説明している。サービス公式ツイッターは22年8月3日にこのガイドラインについて触れ、クリエイターが直接描いた絵や漫画のみが「イラスト」ジャンルに投稿できると呼びかけている。

   同様に、個人がクリエイターにイラスト制作の依頼ができるサービス「SKIMA」。こちらも公式サイトの「よくある質問」ページによると、画像生成AIを用いた商品や作品の掲載や売買はできないと定めている。

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