ジェンダーギャップは埋まるか 東京都で女性の政治進出が目立つ
世界の先進国の中で、日本は女性の政治参加が極めて遅れている国。その結果、ジェンダーギャップが大きい国となっている。しかし、東京都では変化の兆しが出ているようだ。2023年4月の統一地方選を経て、23区内の6区が女性区長に。杉並区では区議の過半数が女性になるなど女性の躍進が目立っている。
区議選は36%が女性
東京23区では4月23日、11区で区長選が行われた。そのうち、江東、豊島、北の3区で女性が当選した。これで女性区長は、品川、杉並、足立を合わせて過去最多の6人となった。
東京新聞によると、4月23日に投票された都内の21区議選と20市議選では、当選した女性の比率は前回より約4ポイント高い35.25%。区議選は36.47%(298人)、市議選は33.20%(161人)。それぞれ前回より約5ポイント、約2ポイント上がった。
杉並区(定数48)は女性が24人当選し、男性の23人を上回った(1人は性別非公表)。武蔵野市(定数26)の当選者は男女同数となった。
都選挙管理委員会によると、都内の投票率は首長選が46.11%、議員選は44.98%で、それぞれ前回を1.32ポイント、1.31ポイント上回った。
議会がカラフルになった
区議選で、特に女性の進出ぶりが際立ったのが杉並区。改選前の女性比率は、約3割だったが、一気に半数超となった。12人が初当選だった。
「当選証書」の付与式を取材したフリー記者の亀松太郎さんは、「Yahoo!ニュース 個人」で4月25日、「議会の女性比率が増えると、まず、なにが変わるのか? それは『色』と書いている。女性議員の服装がカラフルなので、一気に区議会の雰囲気が明るくなったという。
東京都の小池百合子知事は28日、定例会見で女性の躍進について言及。スポーツ報知によると、「女性のニューパワーというか政治参画が東京ではかなり進んできているのではないか」と述べ、「女性の声をより政治にも反映させていく、行政でもそれを率いていくことが有効なのではないかと思う。今回の結果というのはとても興味深い。これからの期待を抱かせるものだ」と話した。
政治分野は立ち遅れ
世界経済フォーラム(WEF)が発表した2022年度版の「Global Gender Gap Report」(世界男女格差報告書)では、日本のジェンダーギャップ指数は146か国中116位、先進国で構成されるG7の中で最下位だった。
朝日新聞によると、この報告は、毎年世界各国における「経済」「政治」「教育」「健康」の4分野14項目のデータから、男女平等度合いを測るジェンダーギャップ指数を算出、総合点で順位をつけている。
各分野の中で、日本が他国の平均から大きく遅れをとっているのが、政治分野だ。なんと、146か国中139位となっている。2022年8月段階で、日本の女性議員割合は衆議院では9.9%に過ぎない。
今回の東京都での女性躍進が、国政にどうつながっているのか、ジェンダーギャップの面からも注目される結果となっている。