Flashゲーム「艦砲射撃!」「マテリアルスナイパー」復活 HTML5対応へ制作者の思い

   ウェブ上で動画やゲームを楽しめるソフトウエア規格「Flash」。2000年代にはさまざまなFlashゲームやコンテンツが制作され、企業や個人のウェブサイトで公開された。しかし、開発会社の米アドビは2020年末でFlash関連ソフトウエアのサポートを終了。2023年4月24日現在、一般的なウェブブラウザーは通常だとFlashコンテンツを再生できない。

   フリーランスとしてゲーム制作に携わるTANAKA U氏は、現在のブラウザーで遊べる「HTML5」規格に、自身作の往年のFlashゲームを対応させてツイッター上で話題となった。TANAKA U氏に取材すると、反響の背景について「当時私のゲームを遊んで楽しい思い出を作ってくれた人が、私の想像以上にたくさんいたからだと思います」と語る。

HTML5に対応し、今も遊べるようになった「マテリアルスナイパー」 (画像は「NEXTFRAME」から)
TANAKA Uさんが最初に復刻した「艦砲射撃!」 (画像は「NEXTFRAME」から)
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「懐かしむ用」だったけれど

   TANAKA U氏は、ウェブサイト「NEXTFRAME」上で数十種類のFlashゲームを公開してきた。

   2004年に公開した「艦砲射撃!」は、艦艇を操作し、敵軍艦と戦っていくゲーム。プレーヤーはキーボードのAキー、Dキーで移動し、マウスで艦砲の射撃位置を指定。左クリックで砲弾を射出し、敵を撃沈させる。「NEXTFRAME」上では、人気ナンバー2のゲームとして紹介されている。

   人気ナンバー1とされるのが、2008年公開のゲーム「マテリアルスナイパー」。スナイパーライフルのスコープをマウスで操作し、手ブレを修正しながら照準を合わせ、ガラス瓶や時限爆弾といった標的を破壊していくゲームだ。

   TANAKA U氏は2022年10月28日、艦砲射撃!(艦砲射撃!甲・改)をHTML5に対応させたと自身のツイッターに投稿。公開から約18年が経過していたなか、ツイートは4800件以上の「いいね」を集め、「復活してくれてありがとう」「またこのゲームができるとは」といった反応が相次いだ。

   23年4月8日には「レトロゲームですので懐かしむ用です」としつつ、マテリアルスナイパーのHTML5版公開を発表。こちらも告知ツイートには6000件近い「いいね」が付いている。

他のゲームも復活へ

   TANAKA U氏に取材した。過去に公開したFlashゲームは長らくその存在を放置しており、「復活」作業に強い意欲があったわけではないと明かす。

   きっかけは「swf2js」という、ウェブ上で配布されているツールを偶然見つけたこと。FlashコンテンツをそのままHTML5に対応させられるコンバーターだ。これが、思いのほか高性能だった。swf2jsにはバグがあるとの問題もあるものの、ツイッターを介して同ツールの開発者であるToshiyuki Ienaga氏本人の協力を得られた。問題は順次解決していったという。「(こうした)縁があったから復活して世に出た」とTANAKA U氏は語る。

   十数年前に「できる限り丁寧」に作った艦砲射撃!とマテリアルスナイパー。テストプレーを経て、現在でも十分遊べる作品だとは感じたが、昨今のゲームの品質水準などをふまえると、もはや「懐かしい!」以上の価値はないと考えていた。しかしHTML5版の公開に大きな反響を受け、ユーザーらの「『懐かしい』の総量」が想像よりはるかに大きかったと感じているという。

「遊んでくれてありがとう。今でも覚えていてくれてありがとう。そういう気持ちです」(TANAKA U氏)

   自身が手がけた他のFlashゲームも、HTML5へ対応させる方針だ。3番人気とされる格闘ゲーム「2ch格闘(仮)」をはじめ、「星追」「SeventhSky」の3作を優先して対応させる予定という。

   現状はswf2jsの挙動にネックがあるものの、Ienaga氏の協力が得られる限りは問題は解決すると考えている。Ienaga氏と協力し、swf2jsの完成度を高めていくことも重要な目標のひとつとして捉えていると語った。

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