歌舞伎町タワー開業で「トー横」に変化は 最初の週末に見えた光景

   東京・新宿で複合高層ビル「東急歌舞伎町タワー」が2023年4月14日にオープンした。歌舞伎町タワーの正面には、シネシティ広場が位置する。ここは新宿東宝ビルの付近、いわゆる「トー横」と呼ばれるエリアで、若者がたむろしたり、酒を飲んで騒いだりする光景が知られている。

   歌舞伎町の新たなランドマークの誕生により、こうした「トー横」の雰囲気は変わっていくのだろうか。開業して最初の週末、タワーや広場の様子を確かめた。

歌舞伎町タワーとシネシティ広場 (写真の一部を加工しています)
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広場は柵で囲まれる

   歌舞伎町タワーは、映画館やゲームセンター、ライブホールといったエンターテイメント施設やホテルで構成される。東急電鉄や東急レクリエーション、ソニー・ミュージックエンターテインメントが出資する「TSTエンタテイメント」(東京都新宿区)が運営。地上48階、地下5階との構造で、高さ約225メートルを誇る。

   歌舞伎町タワー開業前のツイッター上では、トー横として知られる建物付近の治安を案ずる声が複数出ていた。半面、歌舞伎町タワーがオープンすることで、周辺の警備が強化されたり、往来が増えたりすることで、治安が改善されるのではないかと推測する声も一部にあった。

   記者はタワーが開業した4月14日、金曜日の夜にシネシティ広場を訪れた。この日は「KABUKICHO SPECIAL STAGE」(4月15日、16日開催)というイベントの実施前日。

   東急や歌舞伎町商店街振興組合が主催し、映画を上映したり、ストリートライブを実施したりするイベントで、タワー開業に向けて開催されている「KABUKICHO BLUE FESTIVAL」という企画の一環だ。

   イベント会場設営により、シネシティ広場のほとんどは柵や青いパーテーションによって囲まれており、中に入れない。開業初日ということもあってか、広場の柵の両脇は、歌舞伎町タワーへと歩く人や、スマートフォンを向け外観を撮影する人で賑わっていた。建物正面の大型ビジョンでは映画「ニューシネマパラダイス」を上映。タワー前では多くの人が足を止め、映像を眺めていた。

   記者が見た限りではあるが、この時にはシネシティ広場に溜まって座りこんだり、路上で飲み会をしたりする若者は目につかなかった。

タワー前は落ち着いているが

   今度は16日、日曜日の夜にシネシティ広場へ足を運んだ。「BLUE FESTIVAL」の仕切りや柵はまだ残っており、やはりシネシティ広場の中央に入れない。

   シネシティ広場の東側入口には、14日の時よりもタバコの吸い殻やペットボトル、ビニール袋といったゴミが目立つ。新宿東宝ビルとの間の路上にかけて、30~40人の若者が溜まりこんでいる。無数のグループにわかれており、一部のグループは路上に座って談笑。酒の入った缶を片手に立ち話をしている人は、少なくとも5人居た。座りこむ若者や通行人による路上喫煙は珍しくなく、頻繁にタバコのにおいが漂ってくる。

   広場の柵の両脇は、14日と同じく、歌舞伎町タワーへの通路のような役目となっている。しかし柵の南側、ゲームセンター「GiGO」前には、往来のなかで路面に直接座りこんで酒盛りをする男女2人の姿があった。路上にはスマートフォンやカバンのほか、酒の缶を6本広げている。途中で知人とおぼしき男性が合流していた。

   ただ歌舞伎町タワー前へ出ると、座り込む若者や路上喫煙、飲酒をする人の姿は見当たらない。同施設や「KABUKICHO SPECIAL STAGE」関係者とおぼしきスタッフによる機材の搬出入作業や、正面口のエスカレーターから歌舞伎町タワー内に入っていく来場者の光景が広がり、落ち着いた雰囲気だった。

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