AIアバターは「心」を持てるのか メタバース上で実験するプロジェクト

   「意識が宿ったAI(人工知能)アバター」を、メタバース(仮想空間)上で動かそうとする試みがある。AI開発を行う「ロボマインド」(神戸市)の「ロボマインド・プロジェクト」だ。

   同社では「意識」を持つというAIプログラム「マインド・エンジン」を開発中。この実証実験として、「意識が宿ったAIアバター『もこみ』を本気で作るプロジェクト」を行うため、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」上で2023年3月14日、支援の募集を開始した。

意識が宿ったAIアバター「もこみ」のイメージ(写真はロボマインド)のクラウドファンディングページから
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「チューリング・テスト」として

   ロボマインド・プロジェクトの概要を示したアニメ動画が、ユーチューブ上で公開されている。架空のメタバース「エデン」内で、AIアバターのもこみが人間のように他者への愛を理解し、心を獲得するストーリー。この動画の内容の実現に、同社は取り組む。

   ロボマインド社代表の田方篤志氏はプロジェクトについて、「CAMPFIRE」内の「次世代AIの提言」という動画の中で解説している。マインド・エンジンは人間の心をプログラムで再現しており、意識を持って人間とコミュニケーションできる会話エンジンだという。

   具体的には、マインド・エンジンは言葉の意味を理解し、経験したできごとを「エピソード記憶」として覚えられる。例えばジャンケンでグーを出し、相手にパーを出されて負けた記憶があるとしたら、次はチョキを出す。このように自身で「理論的」に考えて、答えが出せると説明する。

   このマインド・エンジンをAIアバター「もこみ」に搭載。もこみがメタバース上で、ユーザーが操るアバターと同じ空間を共有して暮らし、会話するようにする。これがクラウドファンディングで支援を募っているプロジェクトだ。

   実証実験は「チューリング・テスト」としての目的を有している。AIが人間と同等の知能を獲得したかどうかを判定するテストの意味だ。プロジェクトでは、マインド・エンジンで再現した心が人間の心と同じといえるか、メタバース上で実験する。人間の心と同じか判断するうえで、人間がAIの言動に違和感を覚えなくなるかがポイントのひとつとなるようだ。

クラファンは目標の3倍近く達成

   田方氏に取材すると、「自我を持って、世界を認識する心」をコンピューターで再現するのがプロジェクトの目的の本質と話した。開発しているメタバースやもこみは、1年後の稼働を目指しているという。

   クラウドファンディングは、開始約24時間で当初の目標額50万円を達成。4月14日現在は140万円を越えている。田方氏はロボマインド・プロジェクトについて解説するユーチューブ動画を2019年から投稿し続けており、集まった支援の多くは視聴者によるものなのではないかと推測した。

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