自転車用ヘルメット「帽子型」売れてます 道交法改正で人気高まる
道路交通法の改正で、2023年4月1日から自転車に乗るときのヘルメット着用が努力義務となった。この影響か、自転車用ヘルメットが品薄になったり、インターネット上での値段が上がったりする事例が出ている。
中でも帽子のように見えるヘルメットなど、カジュアルなデザインの商品が人気を博しているようだ。
受注数増えまくる
ECサイト「楽天市場」の人気商品ランキングで自転車用ヘルメットの順位を調べた。1位は流線型で通気口がいくつもあるスポーツタイプのヘルメットだが、2位、3位、5位、7~9位は、つばが付いて帽子のような形状をしたヘルメットだ。3位の「帽子型ヘルメット」という商品はヘルメットの表面が布製のキャップに覆われており、野球帽のようにも見える。
自転車用品メーカー「オージーケーカブト」(大阪市)の「DAYS」という自転車用ヘルメット。布製のハットのような見た目をしている製品だ。Amazonの販売ページでは1万2000円で販売されているが、Amazonの価格推移がわかる非公式ツール「Keepa」によると、23年中は2月末までは7326円で販売されていた。人気のためか値上がりしている。
オージーケーカブト広報に取材した。5000~1万円の価格帯で、「スポーツタイプではなく、カジュアルなデザインのヘルメット」を中心に、自転車用ヘルメットは全体的に売れ行きが好調という。
たとえば受注数が増えている製品の筆頭である「CANVAS-URBAN」というヘルメット。半円形のシルエットに布製のバイザーが備わったシンプルな形状だ。こうしたシンプルなデザインのヘルメットや、上から帽子をかぶせたタイプのヘルメットが伸びているという。
同社では道交法改正へ向けて、2022年からヘルメットの生産体制を増強し、例年以上の在庫量を用意していた。しかし現在は在庫よりも受注数の方が上回っており、スポーツ用品店などではシンプルなデザインのヘルメットが品切れとなっている場合がある。「比較的手に取りやすい価格帯のヘルメットは品切れとなっていることが多い状況」と話す。
一般層が買いやすい
スポーツタイプでない製品の人気の背景について聞いた。断言はできないものの、道交法改正に合わせてヘルメットを買う人は「スポーツとして楽しんでいるサイクリストというよりは、軽くクロスバイクで移動したり、日常生活として自転車を使ったりする一般層が中心かと思われます」と分析する。
一般ユーザーにとってスポーツタイプのヘルメットは、日常的なシーンでの使用に適していなかったり、値段が高い傾向にある点がネックとなったりするのではないかと担当者は続ける。シンプルな形状や、帽子をかぶせてヘルメットに見えないようにしてあるデザインであれば、普段着や私服にも合わせやすいために受注が増えているのではないかと語った。
帽子をかぶせたタイプのヘルメット自体は2019年から販売していたが、今回認知が高まっているという。商品展示イベントなどでは利用者から「これだったらかぶってもいいかな」といった声を得ているとのことだ。
供給の見通しについては、現在も受注数は増えており明言は難しいものの「注文していただく時期やモデルによっては夏前まで(品薄が)長引くかもしれません」と話した。