ダルビッシュはホームラン打たれてない? 第1回WBC「世紀の大誤審」チラつく
WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)準々決勝、日本がイタリアに9対3で勝利した。この試合で、ダルビッシュ有投手が浴びたホームランの判定が疑わしいとして、ツイッター上で物議をかもしている。
この状況に、WBCの2006年大会で起きた、日米戦での「大誤審」を連想する野球ファンが複数みられる。
ヌートバーが審判に
2023年3月16日のイタリア戦。日本リードの9対2で迎えた8回表、1アウトの場面。イタリアの打者、ドミニク・フレッチャー選手はダルビッシュ投手のカットボールをとらえ、打球は左中間方向へスタンドインした。判定はソロホームランで、スコアは9対3に変わった。
試合を配信していた「Amazon Prime Video」のリプレー映像を確認すると、球はまずフェンス上部に当たり、跳ね上がった後にスタンドに入っているように見える。解説を務めていた稲葉篤紀氏は「今のはホームランじゃないですね。(フェンス上部の)ラバーの手前に当たっています」と指摘した。
実際、「侍ジャパン」ラーズ・ヌートバー選手が審判に、判定について確認を求めるような様子が中継されている。半面、栗山英樹監督からの抗議や、リプレー検証の要求はなかった。
ツイッター上ではこのプレーに、打球が地面に跳ねてスタンドインした場合に二塁打とみなす「エンタイトルツーベース」が適用されるべきではないかとの声が続出。同時に、「ボブ・デービッドソンか?」との声が複数出ている。WBC2006年大会で球審を務めた、米大リーグの元審判員の名前だ。
「疑惑の判定」1回じゃなかった
「疑惑の判定」「世紀の大誤審」と今も語り継がれるシーンは、2006年3月12日に行われたWBC2次ラウンド、日本対米国の試合で起きた。
日本代表にとって大チャンスとなった8回表の1アウト満塁の場面、岩村明憲選手がレフトへ浅めのフライを放った。三塁ランナーの西岡剛選手は、ランディ・ウィン左翼手の捕球後、タッチアップした。
西岡選手は捕手にタッチされることなく生還し、日本は一時4対3と勝ち越した。ところが、米国側は西岡選手の離塁のタイミングが捕球よりも早かったと主張した。
2006年3月14日付日刊スポーツによると、タッチアップのタイミングについて確認を求められた二塁塁審は当初、セーフを下した。しかし三塁走者の離塁については二塁塁審ではなく、球審が判定する決まりになっており、球審のボブ・デービッドソン氏はアウトを申告。勝ち越しを認められなかった日本はその後、敗北を喫した。
当時の映像を確認すると、観客からのブーイングや怒号が響くなか、日本代表の王貞治監督(当時)はアウトジャッジに猛抗議。先述の日刊スポーツの記事によると、取材に対し「一番近いところにいた審判がセーフと言っているのに、遠くにいた審判が変えるのはおかしい」とコメントしたという。
WBC2006でデービッドソン氏は、2次ラウンドの他の試合でも誤審と疑われる判定を下している。06年3月20日付「asahi.com」によると、米国-メキシコ戦では、メキシコの打者によるポールへの直撃弾を本塁打とするべきところ、二塁打とジャッジしたとのことだ。
今大会の日本対イタリア戦では大差がついており、ソロホーマーが勝敗に影響することはなかった。とはいえ、侍たちは今度は米国で、世界一への戦いを続ける。日本の野球ファンとしては再び「トンデモ誤審」が生まれないよう祈りたい。