ネットで「刑務所バーチャルツアー」 受刑者が暮らす施設を360度撮影
法務省は「〜再犯防止施策を学ぼう〜刑務所バーチャルツアー」を、2023年2月28日に公開した。オンライン上で刑務所内を見学しながら、受刑者の再犯防止への取り組みを知ることが出来る。
メタバース開発など幅広く手掛けるリプロネクスト(新潟市)が制作した。
現地を歩くように見学できる
刑務所バーチャルツアーは、実際に受刑者が暮らす施設を専用カメラで360度撮影している。面会室や診察室など、普段は立ち入れない16室を、現地を歩くように見学できるのが特徴だ。ツアーでは、刑務官のキャラクターが写真や文章で各部屋の役割を紹介する。
刑務所内で提供される食事や、入浴の際の注意事項、刑務作業を行う工場内部といった、暮らしの詳細に触れられる。
全部屋を見学して、「支援会議」にたどり着くと、ツアーの内容を振り返る全10問のクイズが出題される。
高い再犯率と防止策
ツアー開催の経緯について、リプロネクスト広報担当の高橋沙弥さんに取材した。再犯防止をテーマにした理由に、再犯率の高さが関係する。
法務省が発表した令和3年度版「再犯防止推進白書」によると、2020年の再犯者率は49.1%で、1972年以降最も高い数字だという。再犯に及んだ人の17.3%は出所時に適当な帰住先がなく、また保護観察終了時に無職であった人の再犯率は25%と高い傾向にある。
このことから法務省は、出所した元受刑者を受け入れる環境が大切であると考え、再犯防止についての取り組みを広めようとしている。
これまでも各刑務所が参観や見学を受け入れることはあったが、実際に使用している刑務所内部を360°撮影、公開するのは初の試みだ。高橋さんは、「実際に入所者の方が暮らしている施設なので、映り込まないよう撮影するのに苦労した」とコメントした。
バーチャルツアーは法務省のホームページで公開されていて、公開期限は未定。