「激安スマホ」今も残る 通信契約とセット値引き「上限2万円」守っているが

   スマートフォン(スマホ)を、「実質1円」や「一括1円」と、本来の端末価格を度外視して格安で提供する――。2022年、J-CASTトレンドでは何度か報じたが、その後どうなっただろうか。東京都内で調査した。

   行き過ぎた値引きやキャッシュバックによって成立する「格安スマホ」は、その販売手法や転売の標的となっていることが問題視され、総務省が規制に乗り出している。

「アンドロイド」搭載機種やiPhone SEが格安で手に入る
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2019年に法規制

   2019年改正電気通信事業法では、携帯電話の「通信料金と端末代金の完全分離」などが盛り込まれた。解約時の違約金に関する規制や、端末と回線契約をセットにした値引きを上限2万円に制限する定めがある。

   だが法改正後も、端末単体の過剰な割引を行う形で「1円スマホ」が復活した。しかも、店頭では端末だけの購入も可能に見せて、実際には、携帯番号をそのままに他社へ乗り換える「MNP(ナンバーポータビリティ―制度)」でなければ販売されないケースが、2022年の総務省の調査で確認され、問題視されてきた。

   記者は現状を確かめようと2023年2月中旬、都内の家電量販店を訪れた。店内では「1円」での販売は見られなかった。一方で、2022年発売のiPhone 13を「実質価格100円以下」で購入できると宣伝していた。ほかにも、「アンドロイド」搭載機種やiPhone SE(第3世代・2022年発売)がキャンペーン商品として名を連ねていた。中には、条件次第で一括購入が半額以下になる機種もあった。

「実質価格」で格安に

   前述のとおり、2019年の法改正で、通信契約を条件にした端末の割引は2万円までとなった。記者が見た「2万円以上の端末値引き」の「仕組み」は、こうだ。まず、通信契約の有無を問わず、端末自体への値引きが設定されていた。そのうえで、通信契約を条件にした端末代値引きがさらに上乗せされていたのだ。

   例えば、「iPhone 13」に対しては、端末単体購入でも一律5万円前後引かれている。さらにMNPで購入とすれば、2万円の値引きが追加される。つまり通信契約を条件とした端末の値引き額は、2万円を超えていない。この結果、「実質価格で数十円」が可能になっている。

   なお記事冒頭にある「実質価格」とは、残価設定型の購入プログラムを使用した場合の値段だ。契約から2年後に購入機種を返却する契約オプションに加入することで、「実質価格」での端末購入ができる。返却をしない場合、残金を支払う必要がある。対して「一括1円」は、端末の返却などのしばりは存在しない。

   総務省が23年1月30日に実施した「競争ルールの検証に関するWG(第38回)」では、端末単体での割引残価設定型の購入補助プログラムについても制限をかける必要があるのではないかと言及されている。

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