「すだち」不作で広がる影響 ぽん酢や酒の販売休止が相次ぐ

   徳島県の特産品「すだち」が不作により品不足となっている。すだちを原材料に用いている複数の食品メーカーからは、商品の販売休止が発表されている。

   2022年9月15日付「NHK NEWS WEB」によると、すだちは徳島県の収穫量が全国の99%を占める。同記事によれば、最大の産地である徳島県神山町では、露地栽培のすだちは例年8月から9月にかけ約180トンが出荷される。一方、農家が高齢化しているのに加え、2022年は収穫が少ない「裏年」にあたり、同年では100トン~120トンにとどまる見込みと報じられていた。

「すだち」が不作に見舞われている
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「極度」・「歴史的」不足

   菊正宗酒造(神戸市)は2023年1月30日、製造している「菊正宗 すだち冷酒」について2月中の出荷をもっての販売休止を発表した。

   徳島県産すだちの「極度の不作」により原料に用いるすだち果汁の供給が追い付かず、他県からの調達も難しいためだという。販売再開の予定は「収穫量のめどが立ってから」とのことだ。

   食酢メーカー「内堀醸造」(岐阜県八百津町)は2月1日に「美濃特選味付ぽん酢 360ml」という商品について3月ごろの生産をもって休売すると発表した。

   説明によると、この商品はメディアに取り上げられたのを背景とし、近ごろは想定を上回る注文が寄せられていた。原料に使うすだちの「歴史的な不作」が重なったことで、販売継続を断念したとのことだ。原料の配合と味の変更も検討したが、万全の体制で販売を再開する考えに至ったという。9月上旬をめどに供給再開予定だ。

配合量変えて販売

   ぽん酢や果汁商品を扱う「徳島産業」(大阪市)は2月16日、「徳島のゆず果汁150ml」と「徳島のすだち果汁150ml」の休売を発表した。天候不順などを背景としたすだちとゆずの記録的不作を理由としている。安定供給が可能になるまで休売は続くとの説明だ。

   すだち果汁の配合量を変更し、販売を継続するケースもある。

   業務用だしを製造販売する「フタバ」(新潟県三条市)は自社ECサイト「だし.com」上で、「ぽん酢三昧 1.8リットル」という商品の配合を変更すると発表した。ゆず、ずだち、だいだい、かぼすの果汁を使ったぽん酢だ。昨年のすだち不作により果汁の入手が困難となったため、23年2月下旬ごろの出荷分から変更を加えて販売するという。

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