コロナ「5類」春に移行、マスク不要論も 足元では「第8波」死者最多だが
新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが、2023年4月下旬にも、5類に変更され、様々な対応策がインフルエンザ並みに引き下げられる見通しとなった。現在進行中のコロナ第8波では、1日当たりの死者が過去最多を更新。さらに新たな変異ウイルスの拡散も懸念されているにもかかわらず・・・。マスクの使用も緩和される見通しだという。
「年度替わり」のタイミング
岸田文雄首相は2023年1月20日、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けを、今春に5類に引き下げると表明した。朝日新聞によると、首相は昨夏の第7波では行動制限を実施せず、その後も全数把握や療養期間を見直すなど、5類移行へ環境を整え、タイミングを見計らっていたという。
首相の意向を受けて事務レベルの作業が進んでいる。共同通信によると、政府は、早ければ4月下旬の移行を目指している。現在全額となっている医療費の公費負担は段階的に縮小する見通しだという。 朝日新聞は21日、「5類緩和、なぜ今?」という記事で、首相の決断理由を解説している。
それによると、大きな理由は「年度替わり」。冬の感染が落ち着いた後で、自治体も対応しやすいからだという。
事務方は、最新状況について、第8波の感染者数は減少傾向。死者数も一時は過去最多ペースだったが、やや減った、中国からの入国者の陽性率も低く抑えられている、などを説明。岸田首相は5類移行を「この春」とする日程案に目を落とし、「では、このスケジュールでいきましょう」と最終判断を下したという。
サミット対策?
同時にこのところ、「マスク不要」の話も浮上している。これはなぜなのか。TBSの「Nスタ」が、この問題を取り上げている。 ホラン千秋キャスターが背景を説明している。
「1月に岸田総理は外遊を行いましたが、欧米各国はすでに、マスク不要というシーンがたいへん進んでいます。そこに足並みを揃えたいという思い、さらにG7サミットが5月に広島で行われるので、その前までに、"脱マスク"の環境づくりをしたいのではないかという見方があるようです」
井上貴博キャスターが首をひねる。 「(マスクは)感染予防のために着けたりするはずのもの。それが、人目を気にしてつけるなど、マスクの意味合いがマナーのような位置づけになっていないかなと感じる」 KARADA内科クリニック五反田院長の佐藤昭裕医師は、医療専門家の立場から、「今回の感染症法上の分類を変えるタイミングと、マスク着用の議論は、何の関係もない話。それをごちゃごちゃにして一気に進めてしまうというのはやめた方がいい」と釘を刺していた。
変異株「XBB.1.5」が心配
岸田首相になって、コロナの死者は増え続けている。特に今回の第8波では、1日当たりの最多死者が500人を超え、第7波の1.5倍近くに膨らんでいる。
朝日新聞は「なぜ死者が増え続けているのか。その理由がよくわからないままの緩和には不安も残る」と書いている。
また、米国ではオミクロン株の新系統で、免疫から逃れる能力が高いとされる「XBB.1.5」が新規感染者の約5割を占めるまでに広がっている。すでに日本でも確認されており、各国が警戒感を高めている。